時々、何故自分は本を読んでいるんだろうかと思うことがあります。ものすごく広義に捉えれば出版業界に勤めている自分にとって、その事について考える事は、自分は何故働いているのか、という事について考える事と直結しています。自分の超~ものぐさな性格のせいで、このブログの更新も不定期かつ、立ち食いそばの食べた感想ばかりになってしまっていますが、本当は本について、いろいろと考えるブログにしたかったのです。
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まあ、いいです。過ぎてしまった事は振り返らない(笑)まずは、小さくてもできることをやることにします。正直にいいますと、そう思ったことさえ、「小さな習慣」という本の受け売りです。そうです、自分は飽きっぽくて続かない人にほぼ共通している、「流されやすい」という属性も持っています。

- 作者: スティーヴン・ガイズ,田口未和
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なので、という訳ではないのですが、本と自分との関わり方を考える一環として、月曜日に池袋の天狼院書店さんの読書会に参加してきました。生きるための切実さだったり、仕事の必要のためだったり、作者の方への敬意や憧れだったり。更には、作品に自分や家族を投影したり、勇気を貰ったり、日常の一コマをクスリとわらったり……等々。実に様々な読み方や、本に対する愛情の示しかたがあるのだなあ、と感心させられましたし、いい勉強になりました。今日教えていただいた本のうちの何冊かは、近々読んでみたいですねえ。
ちなみにこの日は、「好きな本」というテーマだったのですが、僕が取り上げた本は、飯嶋和一さん「汝ふたたび故郷へ帰らず」と町屋良平さん「1R1分34秒」の2冊。
飯嶋さんの「汝~」は、マッチメイクに恵まれないボクサーの挫折と再生の物語。改めて読み返してみると、よく練られた構成と250ページ弱とは思えない密度に驚かされます。決してかっこよくはないのだけど、ひとつひとつの文章に重量感があって、まるでボディブローをずっと食らっているような気分になります。そして、主人公が再生への一歩を踏み出すシーン。何度読んでも、血液から温度が上がっていって、全身の血がたぎっていくような気分になります。う~ん、ここだけでもいいから、一人でもたくさんの人に読んでほしい。町屋さんの本は、負けが先行している駆け出しのボクサーの、心の中を描いた話。人物の脳内をトレースしたような語り口。こういう切り口の内省的な話は、自分語りのエッセーでしたらそれほど珍しくはないのでしょうが、作中のフィクションの人物で、ここまで丹念に描ける作家さんはなかなかいないのでは。脳と身体との関係の描きかたも、とてもユニークですね。同じボクシングを題材にしている本ですが、それぞれのテイストがかなり違っていて、面白かったです。

- 作者: 飯嶋和一
- 出版社/メーカー: 小学館
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- 作者: 町屋良平
- 出版社/メーカー: 新潮社
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