昨日、3月のワークショップでお世話になった、platformさんの公演を観に、上野ストアハウスに行ってきました。
何でも消す事で、超人気のマジシャン。次に消すと予告したのは、何と全人類。マジシャンは過去に予告した事は全て完璧に現実にしている。期間は、来週までの一週間。半信半疑に感じながらも、人々はそれぞれの最期の時間を過ごそうとするが……。
正直、始まる前は体調不良で眠かったので心配だったのですが……。そんな心配はいい意味で杞憂に終わりました。マジシャン役の日向大祐さん(一流のプロマジシャンで、即興のお芝居もできるという、これ以上考えられないキャスティング)の演技の説得力も大きいのですが、とにかく構成が素晴らしい!今回は脚本2割、即興8割のハイブリッドな構成なのですが、そのバランスがとても良く、即興の良さを活かしつつ、台本劇に負けないここまで洗練されたものが作れるということに、とにかく驚きを感じます。
そして、少し前になりますが、下北沢のB&Bさんの文学の教室にも行ってきました。今回のお題は漱石の「草枕」。一度読んだ事があるのですが、その時よりもゆっくりと時間をかけて読みました。絵描きが文学や芸術について蘊蓄をのたまわっているという事以外は、内容は注釈を読んでもよう分からなかったのですが(笑)、これでもかという洪水のような言葉と、その超絶技法の数々にただただ凄いなあ、と圧倒されました。昔、始めてショパンを聞いた時、その凄さに圧倒されたのだけどどう凄いのかは説明できない。そして、凄いのだけど、果してここまで凄い表現をする必要性があるのだろうか、と感じていた事を思い出します。
そのベースになっているのが、漱石と正岡子規の往復書簡にあった事。漱石=岩波、というイメージがあるが、初期は岩波から刊行されていないこと。そして、もともとは現在の岩波の刊行形態とは異なり、坊っちゃんと二百十日とセットで刊行されていた、という講師の藤谷治さんの話しは、この作品を考えていく上でなかなか示唆的で、参考になりました。漱石と子規の書簡集はそのうちに、読みたいですね。

- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 文庫
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