孤独のグルメseason7を見ながら、ふと主人公の五郎さんのありがたいお言葉を書き写したくなり、自分の日記に転記していると、それだけでは物足りなくなり、過去の作品も写したくなってしまいました。とはいっても一気には無理なので、とりあえずは、コミックの2巻で我慢する事に。1巻と較べると、絵とセリフがしっくりと馴染んできているなあ、と感じる。のと同時に、気のせいかもしれませんが、五郎さんのセリフ回しがより、テレビドラマに近づいたような気が。サービス精神の旺盛な久住さんなら、それ位の事はやってもおかしくはないかも、という先入観が、そう見せているのかもしれませんが。
それにしても、改めて読み返すと、谷口ジローさんの描く絵の力には、ただただ驚くばかりです。一見すると、当たり前すぎて素通りしてしまうのですが、一コマ一コマ見ていくと、そのリアルさと、線のムダのなさには、何を見てどうやって描いたら、こんな境地までたどり着けるのだろうかと、その気の遠さと凄さに、ただただタメ息をつきたくなってしまいます。

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谷口さんの作品といえば、漱石の「坊っちゃん」の誕生の経緯を虚実入り乱れて描いた「坊っちゃんの時代」なんかも、そこに描かれているのが明治である事が、何の違和感もなく受け入れて、読みすすめる事ができます。リアルであるっていう事は、細部の積み重ねで、その細部の綻びで、あっという間にウソになってしまう。そうすると、作品全体がウソ臭くなり、その世界に読者が入りにくくなってしまいます。谷口さんの描く世界は、押しつけがましい事なしに、そこに居させてくれる。これは、すごい事だと思います。
そんな事を書いていたら、年末に行った、久住昌之さんと竹中直人さんの対談で、谷口さんについて語っているのを思い出してきた。そうなると、もっといろいろと、谷口さんの作品が読みたくなってきます。読みたい本がたくさんあるという事は、本当に幸せな事です。

- 作者: 関川夏央,谷口ジロー
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漱石と言えば、一ヶ月位前から「行人」を読んでいるのですが、冗長すぎる所と、恐ろしく面白い所とが、交互にやってきて、冗長な所がくるたびに、読書ペースが全く上がらなくなってしまい、苦戦しています。先日の、B&Bさんの読書会によると、文章が冗長になりがちな原因は、この時期に漱石が喀血して、生死をさまよった事で、所々に、文章の省略や抑制ができなくなってしまったという事にあるらしいです。なるほど。

- 作者: 夏目漱石
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