だいたい読書日記

本の問屋(取次)に勤めています。仕事柄、本を読むのが好きなので、ここで独り言を書いております。趣味でインプロという台本のない即興劇をやっており、ステージ経験もそれなりにありますが、コロナの影響で今はお休み中。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、野球など、好きな事を好きなように書いています。

日記。2/1後編。説法。

本屋博のブースを一通り眺めた後、ツタヤ家電さんに。14時からやる、高座バトル・ルーキーズを見に行く。僕が、本屋博に行こうと思ったのも、出店している、恵比須の「書坊」さんに、前回の高座バトル・ルーキーズを見に行った時に案内をもらったからです。それがなければ、このイベントを見逃していた可能性があるので、いわば、僕の恩人なので、見させていただきます。

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会場の、ツタヤ家電店さんの、2階の一角。

今回は噺家の桂竹紋さん、お坊さんの井上広法住職のお二人がご出演。落語、説法の順で、交互に2席ずつお話し(お噺し)がありました。それにしても、ツタヤ家電の店舗と高座というのが、どうやっても場違い感が満載。その割りに、そのカオスさを楽しみながら、平気で聞けてしまう。それは、僕の手柄ではなくて、お二人の話しの上手さのお陰でです。竹紋さんは、真田小僧と新作の北里柴三郎伝(多分)。熊本出身というのもあるのでしょうが、少し今の圓歌師匠とテイストが似ているようにも、見受けられました。始めての噺家さんですが、最近二つ目に昇格したとは思えないクオリティの高さにびっくり。圓歌師匠のような爆笑王になって欲しいな、と期待してしまいます。ちゃんとお客さんを見て、伝わるように噺をしようという意図が伝わってくる。いい意味で、とても若手とは思えない。どんな方なのだろうかと、家に帰ってウィキで調べてみると、どうなら、もともとはお笑いコンビでやられていた30代半ばの方らしい。先日、拝見した笑福亭羽光さんもそうですが、僕が面白いと感じた二つ目の方はお笑い出身の方が多いのは、技術的な部分もあるのでしょうが、おそらく自分の笑いの好みなんだろうと思います。インプロをやっている影響が大きいのでしょうが、お客と上手くコミュニケーションが取れているパフォーマーさんが、どうやら僕は好きらしい。自分に欠けているものに人は惹かれるというのは、どうやら本当らしい。今後も、応援したくなる噺家が一人増えました。

竹紋さんも面白かったのですが、今回心の底から凄いなあ、と思ったのは井上住職。「お坊さん」って構えてしまいそうになる所を、きさくなお人柄と絶妙な掴みで、心を弛めてくれます。そして、弛めながらも、締めるところはしっかりと締め、心にしっかり染み込むようなお話しをしてくださる。お坊さんってすげえなあ、って目から鱗が落ちながら、うなってしまいました。特に、宇宙人が始めて向かいあっているように、チョコを食べるエクセサイズは、普段よりもチョコの味が本当に濃厚に感じられ、食べ物と向かい合う時間を作る事の大切さを体感でき、とてもありがたい時間でした。

若い頃は、歴史を専攻していた事もあり、宗教=争いの元、というイメージがありました。確かに宗教って、そうした一面がある事は否定できません。ただ、年を取って、物事にはさまざまな一面がある、という事を少し知ることができ、それとは別に、人々の心を楽にし、生きやすくする、智恵の宝庫という一面もあるんだな、という事も知りました。最初に高座バトルにお邪魔した時は、若手の噺家さん目当てだったのですが、今はそれだけが目的ではなくなってきているなあ、と思っています。

そして、さまざまな一面ある人やある状況になりきる事で、五感を変え、心のあり方を変えるというのは、演劇に通じるものが多々あり、大変興味深く感じました。機会を見て、住職の本も読んでみたいでくなりました。

心理学を学んだお坊さんの 幸せに満たされる練習

心理学を学んだお坊さんの 幸せに満たされる練習

  • 作者:井上 広法
  • 出版社/メーカー: 永岡書店
  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: 単行本

おかげで、とても穏やかな気持ちで二子玉川を出たのですが、一つ予想外の弊害が。このあと、インプロで、心が穏やかになりすぎて、役を演じていても、穏やかなままでちっとも心が動かない。これには、本当に苦笑いしてしまいました。