紀伊国屋さんの講演会に続き、3月下旬に実施予定だった本フェスも、中止というご連絡をいただく。サイトを見つけた時には、思わずガッツポーズしてしまう位、楽しみにしていたイベントだったのですが……。う~ん、キツいなあ。主催の方々は比較にならないくらい、キツいのは言うまでもありませんが。
政府は3月中旬まで、人混みでの中で行われるイベントの自粛を要請してますが、それで事態が収拾するとは、とても思えない。この状況がいつまで続くのか?先が見えないという事と、自分の好きな人達とのコミュニケーションが制限されるというのが何よりもキツいです。嫌いなヤツとは、職場で今まで以上に嫌ってほど会うのになあ(笑)自分が感染しないように気をつけて、あとは一刻も早い終息を祈るしかありません。今度、神頼みしに行こうかしらん。
という訳ではないのですが、出来るだけいい状態で仕事をするために、限られた中で、心身のリフレッシュ法を考える。博物館、美術館も休館したり、夜間展示を取り止めたりしてるしなあ。やっぱり、僕にとって、手頃なのはあれか?立ち食いそば屋めぐり。一件すごく行きたい店もあったし。うん、手軽だし、今日はそうしよう。
一件目。フードファイターのマックス鈴木さんが、YouTubeで全メニュー制覇タイムトライアルをやっていたのを見た時に、凄く行きたくなってしまったお店があるので、そちらにお邪魔してみる事に。地下鉄を乗り継いで都営浅草線の人形町駅へ。地上に出て、少し歩くと、目的の『十割蕎麦専門店 名代天下そば』さんに着きます。
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天下つけ蕎麦 380円
まず券売機を、そのメニューの安さに驚く。安いメニューは290円からあって、おまけにそれが十割蕎麦?立地を考えると、安すぎて少しだけ不安になってきます。
注文してから茹でるので少し待ちます。店内も入りやすい雰囲気ですし、夜はちょい飲みもやっているようなので、職場が近所だったら、絶対に常連になってるな、これは。
7~8分位待つと、お目当てのそばが。待ちかねたぜ!出てきた時は、少し硬めの茹で加減かと思っていたら、少したって汁につけてみると、ちょうど良い柔らかさに。十割蕎麦ってつなぎがないから崩れやすい、という話は良く聞きます。ここの蕎麦を食べていると、蕎麦ってナマモノなんだな、という事が改めて良く分かります。つけ汁も、シンプルだけど、やや辛めの汁に白菜が絶妙なアクセントになっていて、蕎麦と合わさった時のバランスがとてもいい塩梅で、美味しい。ただ安いだけでなく、お店の方の、なるべくいいものを食べてもらいたい、という気持ちが伝わってくるのがいいですね。また、来たくなる店です。
一件目に予想以上に満足したので、調子に乗って二件目に。日本橋とか、浅草橋とかとも悩みましたが、ここは、手近な都営新宿線の馬喰横山駅の前にある『文殊』に。文殊チェーン全店制覇を目標に掲げている、僕にとっては、両国駅前、浅草駅地下街に続いて、3件目の文殊。火気の取り扱いの関係で、天ぷらこそ作りおきですが、それ以外は他のお店と大きく変わりません。
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ほうれん草そば 440円
期間限定のほうれん草そばを頼みます。喉ごしのいい細麺、魚系の出汁がしっかりしたつゆ。文殊のチェーン店の基本をしっかり押さえた味に、安心感さえ抱いてしまいます。ほうれん草は、おひたしよりもやや、柔らか目。これをかむと、染み込んだつゆが、じゅわっと広がって、何ともいえない。そして、そのほうれん草が、卵と絡むと、不味いわけがない!うん、まさに、鉄板。
お腹もいっぱいで、幸せな気分で電車に乗り、自宅方面に。来週の読書会の推し作家、誰を紹介しようか、まだ悩んでいる。岸本佐知子さんにしてエッセイと翻訳した作品を紹介しようか?それとも、手堅くなら、森見登美彦さん、有川浩さん、米澤穂信さんあたりか。戯曲だったら、モリエールや岡田利規さん、平田オリザさん。エッセイなら久住さんという手も。変化球なら、文芸漫談を紹介するという手も。推し作家について考えるという事は、自分の読書遍歴をかなりダイレクトにお見せする、という事なので、どうしても目移りするし、悩んでしまう。
まあ、まずは、今読んでいる、岸本さんの「ひみつのしつもん」を読み終えてから考えよう。うん、何々、尻に黒沢明を飼っている?僕なんて脳内に大滝秀次氏を飼うのが、精一杯なのに。(おまけに、いつもダメ出しされてばかりだし)
さすが、岸本さん。僕ごとき凡人とは、妄想の格が違います。

- 作者:岸本 佐知子
- 発売日: 2019/10/10
- メディア: 単行本