ローマ人の物語の「ユリウス・カエサルルビコン以後」の下巻を読み終える。自分の目的を達成するために(既に精度疲労を起こしていた、元老院主導の共和制の刷新)、実に長く多くの苦労をしてきたカエサル。それが、権力を掌握して、やっと自分のやりたい事ができるようになってから、びっくりする位あっけなく暗殺されてしまったのには、とにかく驚いてしまいます。生きているカエサルには、えこひいきではないかと感じる位、思い入れたっぷりに語っている、作者の塩野さん。暗殺の場面になると、とにかくあっけないくらい淡々かつあっさりとと描いています。
自分も、もしカエサルのような社長が会社のトップだったら、絶対についていくでしょうから、そのあっさりとした描き方もわからんでもないですけど。本当に天才的な人たらしだと思いますし、今の世の中に生きていたら、政治家としてでなく、ハリウッドスターとして大成功してるんじゃないかなあ、という気さえしてきます。
そして、その後のオクタヴィアヌスとアントニウスの抗争は、まるでオクタビアヌスの性格を反映したかのように、冷静にかつ淡々と描かれています。ただ、淡々と書かれてはいても、充分すぎるくらい劇的だな、と思っていたら、シェークスピアは「ジュリアス・シーザー」だけでなく「アントニーとクレオパトラ」も書いていたんだ、という当たり前過ぎる事を、この本を読んで始めて気がつく。なるほど、この時代が劇的だというのは、かなり一般的な考えらしいです。

ローマ人の物語 (13) ユリウス・カエサル ルビコン以後(下) (新潮文庫)
- 作者:七生, 塩野
- 発売日: 2004/09/29
- メディア: 文庫

- 作者:ウィリアム・シェイクスピア
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
相変わらず、自分の持ち場は去年と大差のない仕事量ですが、周囲で少し変わったのが、ネット書店向きの商品の出荷量が大幅に増えてきたことです。所用があってエレベーターに乗ろうとしたら、某ネット書店分の出荷作業でエレベーターがほとんど塞がってしまった時間帯もありましたねえ。一番苦労している、倉庫や配送をやっている人達がきちんと報われてくれると嬉しいんですけとね。
作業中に、コンテナに大量に乗せられた、カミュの「ペスト」を見かける。大量に「ペスト」と書かれた表紙の本が積まれていると、本には何の罪もないのですが、時期が時期だけに何だか背筋に寒くなるものを、ちょっとだけ感じます。

- 作者:カミュ
- 発売日: 1969/10/30
- メディア: ペーパーバック