だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。下北沢。文学の教室 『細雪』3。

久しぶりに下北沢のB&Bさんに行ける!それも、文学の教室で!!

先日、今回の教室はオンラインでも店舗でもどちらでも受講可能ですというご案内を頂いたので、迷わず店舗に行く方向でスケジュール調整することにします。B&Bさんが4月に別の場所に移転してから、非常事態宣言が出た事もありなかなかお伺いすることが出来なかったのでなおの事。下北沢に行くこと自体
が緊急事態宣言後始めてで、それも楽しみです。

井の頭線の下北沢で下車したあと、いつもと違う出口(おそらく北口)を出て、小田急線の世田谷代田方面を目指して5分弱くらい歩くと、2階建ての住宅が集まっているような場所が見えてきます。そこが、B&Bさんの新店舗の入っているボーナストラックという、小田急沿線の再開発プロジェクトで作られた商業集積です。まだ出揃ってはいないようですが、それぞれの店が個性を出しつつ緩やかにお店や人が繋がりになっている感じは、下北沢らしくて何かいいなと思います。ただ一つだけ、その替わりに従来お店やテナントが入っている場所の再開発と引き換えに、このような施設が出来ていないかどうか、だけが心配ですが。身勝手な意見なのはわかりつつも、おそらく全国でも例がない個性的な街のコアの部分は、できる限り残しておいて欲しいなあと思います。

少し開始まで時間があったので、朝からほとんど何も食べていないので腹ごしらえを。テナント内の飲食店がもう少し充実しているとありがたいなとは思いますが、まだ全てテナントが出揃った訳ではないので、今後に期待です。テナント内にあるコロッケ屋さんで、コロッケとメンチカツとさつまいもコロッケを注文。少々小ぶりではありますが、丁寧な仕事ぶりが伝わる、きめこまやかで繊細な味。さつまいもとコロッケの組み合わも予想以上に合っています。少し、チョコレートを売ったいる洋菓子店にいるような、いい意味で既存のコロッケ屋さんのイメージをひっくり返してくれるお店です。

f:id:kahsuke555:20200703064124j:plain

f:id:kahsuke555:20200703064146j:plain


食べ終わったら、移転したB&Bさんに。オンラインでも店舗でも、どちらでも受講可というお話しでしたので、何人かいらっしゃるかな、と思っていたら、店舗は自分ひとり。オンラインで受講している方がいるのが、何とも頼もしいです。多分、オンラインも含めて一人、とかだったら緊張してガチガチになっていただろうなあ。

f:id:kahsuke555:20200713073507j:plain

細雪 (下) (新潮文庫)

細雪 (下) (新潮文庫)

この本は戦中~戦後にかけて描かれていて、戦前は発売禁止になったり、この本が原因で作者の谷崎潤一郎は、特高にもにらまれたそうです。後世、「日本的な美意識が余すとこなく描かれている」と称される作品さえ、事と次第によっては権力によって虐げられてしまう。多様だからこそ素晴らしいはずの日本や日本人としての良さや美しさが、政府によって都合良く矮小化されてしまうケースがあること。そして、そうなってしまった時に作者や僕たち読者はどう処したらいいのか。この作品を描いた時の谷崎の姿勢は、その大きなヒントになるのではないかと思います。

更に、講師の藤谷治さんは、明治以降の近代文学のテーマとして、①人生はいかに生きるべきか、人間はとうあるべきか、②官能、の二点を挙げていらして、近年①に偏り過ぎている事の危うさについて指摘してされていました。確かに、コロナによって世界中の人達が分断されてしまった今は、人々の普遍的な倫理を求めるよりも、個々の人々が何を大切にして、何を美しいと感じるのかを大切にしたらいいのか、そして、自分と他人とのその差をいかに大切にして尊重するのか、その方がいいのではないだろうか、と思いました。

まだ、全ては読み終わってはいませんが、そう考えると、この時期にこの本が読めた事は本当にありがたかったですし、あえてこの本を課題図書として取り上げた、藤谷さんの慧眼は、ホントにスゴいなあと思いました。

f:id:kahsuke555:20200713074234j:plain

細かいですけど、今回の教室のノートです。久しぶりに店内を回って2冊購入。移転して通路が広くなって、本を探しやすくなり、ありがたいです。

アイデアはあさっての方向からやってくる

アイデアはあさっての方向からやってくる

  • 作者:嶋 浩一郎
  • 発売日: 2019/03/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


この日、買った2冊。


7月からはシェリーの「フランケンシュタイン」が課題図書だそうです。こちらも楽しみです。