だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。文学の教室 「雪国」その1。カンパニーオクトーブル映像上映会。THEATER MOMENTS「フランケンシュタイン/怪物」@せんがわ劇場。

昨日、一日中目一杯楽しんだ事もあり、目一杯バテる。十数年前、バカみたいに演劇にはまっていた時に、土日4ステージとか平気で観ていた時期がありましたが、我ながら良く観ていたなあと思います。演じる方たちの足下には及びませんが、観るという事にはお金だけでなく、体力もいるんだなあとつくづく感じる今日この頃です。健康には気を付けないとなあ。

なんて事を考えていると、充電器やルーターは持ってきてるのに、何故か肝心のスマホだけ忘れとる~(泣)最近、こういうポカが多いですねえ。けどそれに気づいたのは、電車に乗ってからなので今さら戻る訳にもいきません。まあ、なるようになれですね。困ることはあっても、死ぬことはないし。急いで下北沢に行かないと。本日は、昼から下北沢の書店「B&B」さんで「文学の教室」。緊急事態宣言解除後、会場では1人もしくは2人だったので、この日のように6人もいると、少し感動してしまいます。


そして、今回のお題は川端康成の「雪国」。藤谷さんにとっては大変思い入れの深い小説で何回も、特に今のような怖い時勢の時に読み返したくなるそうです。そのせいか今回はとても話しにくそう。藤谷さんほどの方でも、思い入れが強いと俯瞰して作品を見るのが難しくなるのですね。まして自分はと考えると、心していかないと。

雪国 (新潮文庫)

雪国 (新潮文庫)

この本を読んでいて不思議に感じていたのは、主人公の二人、島村と駒子の人物造形。島村は、妻子持ちの小太りのおっさんで、プータローで、空気が読めない男。とても魅力的ではありますが、そんなのに惚れてしまう段階で、男に都合が良すぎて大問題。それだけでなく、感情の波が激しすぎてエキセントリックすぎる女、駒子。こんな奴らフツーいないだろう、って突っこみたくなるレベルの常人離れした二人です。問題はそんな二人を、川端はかなり意図的かつ周到に作り上げている点です。

今まで、それは何故だろうなと疑問に感じていたのですが、今回、藤谷さんの「この世の話しではない」という指摘に、深く納得。確かに、この作品が現実離れしているのは、人物だけではない。情景も、物語も小説の世界でしか存在し得ないものです。「こんなにさりげなく非現実を書く人は他にいない。ゆえに芸術的で下世話で、わかりやすく難解でいろいろな層を読者に取り込める」という藤谷さんの話しも頷けます。いつもの事ながら本当に勉強になります。


文学の教室が終わった後は、三茶まで歩き、バブリックシアターに隣接している建物の部屋で映像を観る事に。内容は、三茶de大道芸の会期中に来日する予定が出来なくなってしまった、「カンパニーオクトーブル」の作品の上映会です。フランスのカンパニーということもあり、パントマイムやコンテンポラリーダンスの要素も取り入れた、とても洗練された作品です。

クロバットの動きも凄いし面白くはあるのですが、何故かワクワクとしてこない。業務用ではないので映像の編集の問題も確かにあるでしょう。けど、どうもそれだけでもないようです。おそらく、昨日肌で感じた、ハラハラ、ドキドキ、ワクワクした空気。それが足りないようです。その辺が舞台を映像で観る難しさですし、パフォーマンスをライブで観る醍醐味だと思います。今日の映像で物足りなさを感じるという事は、裏を返せば、それだけ昨日のパフォーマンスが凄かったという事なのではありますが。

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公演のチラシです(後日撮影)



その後、休憩しながらゆっくりと仙川まで移動。夜はせんがわ劇場で、シアターモーメンツさんの「フランケンシュタイン」を観劇。原作をベースにその世界観を上手く活かしながら戯曲として再構成されていて、とても見応えのある舞台でした。実はこの小説、怪物の誕生のシーンなど、映像的には見せ場だと思えるシーンをあっさり描いている所がかなり多い。そこがクリエイターの頭の痛い所でもあり、創造力の発揮のしどころでもあります。そういった場面もとても上手く描かれいたように、見受けられました。怪物の名前がない事=主人公のビクターフランケンシュタインは自分の造ったものを人間として扱っていない。その部分をキーとしてシーン作りをしている所も、二人の関係性を上手く描く上では、ものすごく効果的に働いています。


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公演のチラシ(翌日撮影)