だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記②。池袋・立ち食いそば「しぶそば」。春風亭一蔵独演会@新宿道楽亭。

予想以上にバタつきましたが、仕事の方を何とか時間内に収めて、新宿三丁目方面へ。今日は池袋から新都心線に乗って、目的地を目指します。

途中、しぶそばさんがあったので、池袋で腹ごしらえ。渋谷の本店が閉店した時には行けなかったからなあ。その支店が池袋にあり、本店の味を引き継いでいる、というのはどこか感慨深いものがあります。券売機を見ていて、唯一どんなものが出てくるのか分からなかった、「むじなそば」を注文します。注文してからそばを茹でるシステムのようで、3分ほど待つと、注文したそばが出来上り、食券の番号で呼ばれます。

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むじなそば 420円。

なるほど、きつねとたぬきのハーフ&ハーフでむじなそばですか。お揚げに染み込んでいたつゆとだしが合わさり、醤油っぽさがやや強い味に。そのだしを吸った天かすと、やや太目のそばとが絡むと普通のそばよりも美味しさがワンランク上になります。つゆが濃くなりすぎないように、油揚げもさっぱりめですし、ただ組み合わせただけでなく、よく考えられているメニューです

お腹もちょうどいい感じになったので、地下鉄に乗り新宿三丁目へ。下車してどこの出口から出ようかとちょっと悩んでいたら「新宿御苑方面」という案内。だいぶ道楽亭さんの近くに出れる、と思っていたら、新宿御苑って結構広いのをすっかり忘れていました。予想していたよりもかなり南の方に出てしまいます。慌てて方向転換したのですが、かなり時間をロスすることに。それでも10~15分前には着いたのですが、完全に出遅れてしまいました。

本日は、春風亭一蔵さんの独演会。先日、北とぴあ若手落語競演会に出演されていた時は、惜しくも2位だったのですが、その時の噺が面白かったので、一度たっぷり聞いてみたくなってしまったので、いい機会だと思い申し込んでみました。

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大柄な一蔵さんが高座に上がると、本当にお客と噺家の距離がとても近い会場だということを、改めて感じます。

今回は、前半は長めのまくらから「粗忽の釘」。仲入りを挟んで後半は「文七元結」の2本。どちらも聞き応えがありました。基本は見た目通りの(笑)、パワーと熱量で押しきっていく芸風。本当に申し訳ないのですが、本来ならやや苦手なタイプの噺家さんです。けど、人物の背景やそこに至るまでの心の動きなどを、とても丁寧に描いています。見た目以上に繊細なタイプの噺家さんのように見受けられました。体育会系のノリと、見た目によらない噺作りの丁寧さは、少しだけですが、彦いち師匠の落後と重なるような気がします。今でも充分に面白いですけど、年を取って肩の力が抜け、間とか省略の技術が自在に使えるようになると、もっと凄い噺家さんになりそうな気がします。今後が楽しみな噺家さんなので、チャンスがあったら、どこかでまた聴きにいきたいです。


独演会が終わって新宿方面を歩いていると、普段の半分強程度の人の流れ。スムーズに歩ける一方、呼び込みの多さには閉口します。先日の歌舞伎町の感染拡大もあったので、ひょっとしたら今の新宿は日本一コロナ感染のリスクが高い、という認識を持たれているのかもしれません。確かに、帰り道だし、事前に予約してしまったので、連日落語を聴きに行っていますが、そうでなければ、わざわざ新宿に行こうとは思わないでしょうね。普通は。

帰り、電車の中でボルヘスの「幻獣辞典」に手をつけ始める。古今東西の幻獣に関する記載を縦横無尽に引用していて、こういうのを知的な文章っていうのだろうなあ、こういう文章が書けたらどんなにいいだろうなあ、羨ましいなあ、ってしみじみと思いながら読む。普通に書いた文章が結果知的になっているだけで、「知的な文章を書こう」と思っている段階でそのような文章など書けない、という事はよく分かってはいるのですけどね。

幻獣辞典 (河出文庫)

幻獣辞典 (河出文庫)