朝、会社でご飯を食べようと思ったら財布の中に一万円札と五千円札と10円玉が2枚、そして1円玉が3枚しかない事に気づく。当然、わが社には両替機などというものはなく、23円では自動販売機のカップヌードルたちや飲み物を買うことができません。不幸中の幸いで、カップヌードルレシピに使おうとしていたおかずと、昨晩買って飲み損ねてしまっていたおしるこの缶があったので、これで朝食を取る。昼メシの食券のカードをチャージすれば、社内でもお金をくずせるのですが、無駄遣いしなくてすむし、家に帰るまではこのままでいる事にします。
予想はしていましたが、仕事についてだけいえば、今週は全体的に穏やか。来週以降は少し慌ただしくなりそうなので、今のうちにリフレッシュしておくことに。帰社時間を少し繰り上げて、早めに池袋に向かうため、バスを乗り継ぎます。
池袋では東口にある、以前から気になっていたそば屋さんへ。立ち食いそば屋さんかと思っていたら、お酒のメニューが豊富な上に、ビーフシチューからしょうが焼き定食まである、何とも不思議なお店です。中に入った感じですと、ランチはそばがメインの定食屋、夜はそばがメインの居酒屋といった営業形態のようです。
時々思うのですが、そば屋さんと立ち食いそば屋さんの違いって一体何なのでしょうか?食べログの100名店の選定などを見ても、そこのあたりの線引きがどうも曖昧ではっきりしません。味や知名度を考えても、普通なら、よもだそばあたりは選ばれても不思議ではないと思うのですけどねえ。
まあ、気を取り直して煮豚つけそばを注文します。どうやら生麺を注文してから茹ではじめるお店のようです。10分弱ほどすると注文した商品が到着。冷たい細麺にとろみのついた温かいつけ汁。つけ汁は甘めが強めてすが、くどさは全くなく細い麺ととても相性がいいです。とろみのお陰で麺と汁との絡みがかなり良くなっていますし、冷たい麺でもつけ汁が冷えずに最後まで食べられます。よく考えられて作られており、なかなかやるなという印象です。煮豚もきっちり三枚入っていてかなりの食べごたえ。値段を考えるととてもお得です。
定食メニューの値段もなかなかリーズナブルですし、今度はそばではなくこちらも試してみたくなります。それにしても平日の夜に観劇が入ると、どのタイミングで食事をするかが本当に難しい。観劇前にお腹一杯になってしまうと、観ている最中に眠くなります。かといって終わった後だと、22時までに閉店している店が急激に増えているので、食べている時間がなくなってしまう。この厳しい状況で低いリスクで観劇できているだけでも本当にありがたいのですが、頭の痛い問題ではあります。
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煮豚そば 650円+大盛 100円
食事をした後は、ジュンク堂に行き、町田康さんの「浄土」を購入。以前、ブックオフの某店で買ったのですが、書き込みがひどくて読むに耐えられなくなって、捨ててしまったのを、再度買うことに。お店もきちんとチェックして、買い取りや販売をして欲しいですよね。古沢和宏さんの「痕跡本の世界」のように、面白い書き込みがあるという前提で買い取りをしていて、それを買った人と一緒に楽しむ分には、全然ありだと思うのですけどね。

- 作者:古沢 和宏
- 発売日: 2015/06/10
- メディア: 文庫
その後西口に渡り、メインイベントである芝居を観に、芸術劇場に。劇場の前にイルミネーションが。全く実感がないのですけど、もう少ししたらクリスマスになって、大晦日になって、来年に為るんだろうな。いや、まだまだ今年をまとめるには早いです。仕事の山もこれからですし、もうひと頑張りです。
本日は、シアターイーストで久しぶりのパラドックス定数の芝居を観劇。今回の演目の「プライベートジョーク」は2007年にサンモールスタジオで上演したものの再演。自分、初演を観ているはずなのですが、この演目については、本当に申し訳ないのですがうっすらとした記憶しかありません。この前の公演のチェスを扱った二人芝居の「Nf3Nf6」や、この後の「東京裁判」は割りと鮮明に覚えているのですが。
“スペインのとある学校の寮の一室。若い男が3人。映画監督になりたい哲学生と、詩人になりたい法学生と、画家になりたい美術学生。彼等はいつものようにばか騒ぎをしている。その部屋に偶然やってきた2人の天才。1人は画家で、もう1人は物理学者。この出会いで変わる3人の運命。一方で、彼等ではどうにもならない悪夢も近づいている……。”
配役ではイニシャルになっていますが、学生たちは、ブニュエル、ロルカ、ダリをモデルにしている3人。この3人の冒頭のばか騒ぎのシーンがとてもいいんですよね。軽妙で、洒脱で、知的で、そして無意味。3人の絆と自分の才能を客観的に見れず、人生をもてあましている感じがとても良く出ています。
年長組の2人は、ピカソとアインシュタインをモデルにした人物。配役では画家Pと学者Eとなっていますが、初演ではフライヤーにピカソとアインシュタインと実名が書かれています。おそらく、再演で相当書き直したのでは。劇作家の野木さんが、二人のキャラクターのステレオタイプを上手く活かしながら、より想像力の翼をはばたかせて人物を描こうとする姿勢を感じます。
前半は軽妙な喜劇のように見えたのですが、スペイン内戦の影が見え始めた後半は、徐々にシリアスな展開に。前半に描いていたコミカルなシーンと対比になっていて、見事なドラマ作りだと思います。コロナの影響もあるので、自分の力ではどうにもならないものと対峙した時に、どうそれと向かい合うのか。そんな彼等と今の自分達とか重なってきてしまい、途中から目の前のことが虚構の世界の中の事ではなく、現実に起こっている事を目の当たりにしているような気分になってしまいました。
今回の再演で、どんな作品だったか思い出せなくなるという事は、もうなくなるでしょう(笑)少なくても、そう言い切れる自信はあります。