だいたい読書日記

本の問屋(取次)に勤めています。仕事柄、本を読むのが好きなので、ここで独り言を書いております。趣味でインプロという台本のない即興劇をやっており、ステージ経験もそれなりにありますが、コロナの影響で今はお休み中。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、野球など、好きな事を好きなように書いています。

日記①。せんがわ演劇コンクール 灰ホトラ「列と野鳥」@せんがわ劇場。小松台東「てげ最悪な男へ」@三鷹芸術文化センター 星のホール。

昨日に引き続き、午前中はせんがわ劇場へ。今回拝見したのは、劇団灰ホトラさん。お茶碗と箸で何かを食べようとしている女性3人が。台詞の替わりに日本国憲法の条文を1条から交互に口ずさんでいます。普段しゃべっている言葉というものが、その内容よりも、声の大きさや早さや高さといったしゃべり方の方が意味を持ってしまう。そんな言葉の持つ面白さやめんどくささがユニークな切り口から垣間見る事ができます。日本国憲法がただの記号として扱われているのを観ていると、コロナなのを言い訳に、人権や生活機会を平気で奪っていく、今の世相の事を嫌でも考えてしまいます。

ちょつと惜しいなの感じたのは、お茶碗のモノを食べるふりになってしまった事。これはあくまでも想像なのですが、最初はお茶碗の中のものを実際に食べながら、進めるつもりだったのではないかと思います。それがコロナで色々な制限が入ってしまい、舞台上で飲食ができなくなったのではないかという気がします。絵面的には、その方が面白いですし、食べるものによっては批評性を出すこともできたのではないかと思います。



終わった後、もう少し余裕があるのかなと思ったら、思いのほか余裕がなく、仙川から三鷹まで速やかにバスで移動します。そして14時から、小松台東さんの「てげ、最悪な男へ」を観劇。

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一人の女性の恋愛を、彼女の周りにいるさまざまなタイプの「最悪」な人たち(特に男)との人間模様交えながら描いた作品。2007年と2021年の宮崎(多分、市内)を舞台に、全編宮崎弁で舞台は進んでいきます。リアルなセットと、巧みな脚本、達者な役者さんの力で、舞台の空間がしっかりとそれも何気なく宮崎になっているのが、素直に凄いなと思います。それにしても、ここ一年とことん宮崎とは縁がある(笑)こりゃあ、コロナが収束したら行くしかないですな。

基本的には復讐劇なので、見終わった後はもっとカタルシスなようなものがあるかと思っていたのですが、終わってからも、かなりモヤモヤとした気分になりました。ただ、これは決してつまらなかったからではなく、むしろ逆。単純な善悪だけではない、人の割りきれなさを上手く描けているからこそ生まれたモヤモヤだと思います。最低な男達とはいっても、さまざまな種類の最低さがあります。それに、彼らなりではありますが善意や正義で動いている時もあります。逆に、最低な男だとは分かっていても、頼ったり、利用せざるを得ない事もありますし。そういう人間関係が細やかに描かれているところは、本当に凄いなと思います。

個人的に唸ったのが、前半と後半で、冷蔵庫が変わった部分。前半の家庭用の冷蔵庫が、後半には居酒屋で使うような業務用のものになっています。それによって、家の中で実権を握る人間が変化した事や、それに伴って変化した関係がある事やこの家のアルコール消費量が増えた事が雄弁に伝わってきますし、いろいろと想像も膨らみます。そういった細やかに演技や演出が行き届いたシーンが随所にあって、とても見応えのある作品でした。


続きは、②に書きます。