だいたい読書日記

本の問屋(取次)に勤めています。仕事柄、本を読むのが好きなので、ここで独り言を書いております。趣味でインプロという台本のない即興劇をやっており、ステージ経験もそれなりにありますが、コロナの影響で今はお休み中。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、野球など、好きな事を好きなように書いています。

日記。講談貞橘会@らくごカフェ。神保町・うどん「博多うどん酒場 官兵衛」。世田谷パブリックシアター演劇ワークショップ。

昼から、らくごカフェで一龍斎貞橘師匠の講談の会にお邪魔する。3月に日本演芸家連合浪曲と司会のレクチャー&デモンストレーションに参加させていただいて以来、落語だけでなく、講談や浪曲といった他の芸能にも興味が出てきた今日この頃です。

襲名公演で前座さんが出払っていることもあり、貞橘師匠とゲストの琴調師匠のお二人だけ。その影響もあり、貞橘師匠が乗った楽屋への階段が崩れるという、ヒャッとするアクシデントもありましたが、いい雰囲気で楽しませてもらいました。

前座さんがいない分は、師匠自らが前座時代の本を持参し三方原戦記を読むというサービスも。こういう形で演じていただけると、講談が講釈師が本を読むという演芸なんだなという事を、とても分かりやすく知ることができ、勉強になります。

そして、「本を読む」という見地で見た場合、面白かったのが、ラフカディオハーンの「怪談」から鈴の音を取り上げた事。ただの朗読ではなく、自然な形で講談の話になっているのが面白いとです。もしかしたら、講談の演目としてアレンジした元本のようなものがあるのかもしれません。

ゲストの琴調師匠も、緩急自在の語り口は流石のひと言。いつの間にか引き込まれていました。きさくなお人柄なのに芸人としてのオーラが半端ない。タダ者ではないと思いお調べしたら、自分がただ勉強不足なだけで、かなり凄い方だという事がよく分かりました。こういう方を目の当たりにしたり、自分では思いつきさえしない素晴らしいパフォーマンスを見ると、人間に生まれて本当に良かったなあ、と思えます。

(演目)
・一龍斎貞橘 三方原軍記 内藤三左衛門
・一龍斎貞橘 宮本武蔵傳 鍋蓋試合
宝井琴調 英一蝶と宝井其角
・一龍斎貞橘 鈴の音(ラフカディオハーン「怪談」より)

~仲入り~

・一龍斎貞橘 「赤穂義士銘々傳 中山安兵衛 高田馬場血銘」


まだ勉強中なので、こういう風に演目をアップしていただけると、大変に助かります。新宿末広亭さんとかも、やってもらえるととてもありがたいのですが……。


次の予定まで少し時間があるので、以前から行きたかった、三省堂本店さんの教科書売り場に。目的は読み物として、現代文の教科書を買う事です。

パラパラと捲っていると村上春樹さん、養老孟司さん、平田ヲリザさん、俵万智さんと、そうそうたるメンツが。亡くなった方だと、漱石、芥川、康成、中也……等々、とこれまた凄い。昔は、この人達の作品が一同に会すありがたみが微塵もわからなかったなあ。それが少しは分かるようになったのは、未熟ながらも成長は出来てるという事なんだろうなあ。

そんな、目移りする中から選んだのが、大修舘さんの高校の現代文2のテキストです。2日前まですっかり忘れていましたけど、教科書ってお店の規模とは関係なく取扱書店になっていないと販売できないし、三省堂さんのように店頭在庫があるお店はものすごく限られているのを忘れていました。なので神保町に行ったときに買っておかないと、次はいつ買えるか分かりませんからね。大久保にある教科書の販売所も、基本は5時で閉まってしまいますし。

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教科書を買ってひと安心した所で、夕方の4時前。漸く少し遅めの食事にすることにしますが、ランチ営業のみで3時で閉まってしまった所や、南海さんのように夕方5時から再開の店が多いです。時間に余裕がない割にいい店が、三茶行ってから食うかと思っていたら、手頃なうどん屋さんを見つけたので入ってみる事に。「博多うどん酒場 官兵衛」さん。博多うどんの定番のごぼう天やさつまあげのうどんとも迷ったのですが、オススメのもつにらうどんを注文。

お値段がやや張るなという第一印象だったのですが、それも納得できる美味しさ。うどんも汁も丁寧な仕事をしていて、上品ですがダシがしっかりしていて、かなり美味しいです。更に特筆すべきは、にらともつ。にらは火がギリギリ通っていてシャキシャキとした食感がしっかりと残っていて、柔らか目なうどんととても良く合います。もつも新鮮でプリップリ。にらともつはうどんの具なしでも、これだけで一品料理として充分に通用します。これを肴に飲んだら美味しいだろうなあ。

味はとてもいいのですが、一つだけ残念なのは、店構えと商圏の客層と、メニューがどうみてもアンマッチな事。ターゲットはもうワンランク客単価が低い客層なんだろうと思います。平日はサラリーマンの方もいますが、土日はお金を持っていたら本を買ってしまうような人達の多い、日本でも大変に貴重な街ですから。


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もつにらうどん 1100円+かしわおにぎり 180円



そして夕方からは、久しぶりに世田谷パブリックシアターでの演劇ワークショップ。オリンピックを強行する限りは、この時期のイベントは潰れる心配が少ないので、予定が立てやすくてとても助かります。もちろん自分でリスク管理をきちんとする、というのが大前提ですが。

今回は、最初に身体を動かしたり、頭をほぐしたりしながら、雨の日のエピソードから動きを作っていきます。そして、それをグループのみなさんの動きと組み合わせてダンスのようにしていきます。ちょうど主宰の安田雅弘さんの本を読んでいた事もあり、以前山の手事情社さんのワークショップで、それに近い事をやったのを思い出しました。ダンスの動きって、日常の動きを引き延ばしたり、変化させたりしたものが結構多かったりするんですよね。

グループの中の他の人の話を聞き、自分と違う価値観によって作られたものを、自分のそれと組み合わせてみる。そうすると、自分では思ってもいなかったものが出来上がります。そういう創作の過程を体感する事は、今のコロナ下ではもの凄く大切な事だとは思うのですが……。う~ん、でも理解してもらうのは、なかなか難しいです。


この本です。まだ読み始めたばかりですが、身体を客観的に見る、という事についてかなり深く掘り下げて書かれています。