だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。文学の教室「砂の女」@本屋B&B 。ファナティック読書会@池袋天狼院。

午前中は、今年最初の「文学の教室」。

一応、会場参加で申し込んではおいたのですが、年明けからの感染拡大。状況も状況なので、最悪オンラインへの切り替えも覚悟していました。

時間帯は昼間から午前中に変更になりましたが、どうやらオンラインとの並列開催で実施できるとの事。オンラインだと、逆にリアルタイムではきついかな、と思っていたので安心しましたので、下北沢に向かいます。


今回は安部公房の「砂の女」が課題図書。

マルケスやル・グゥィン、アトウッド、谷崎の「細雪」、。等々。かなり手強い小説も読んできた、この教室。その中では比較的読みやすい部類に入るテキストです。

まあけど、必ずしも読みやすい=簡単、だという訳でもないのが、文学の面白いとこではありますが。

本は一人で読むのもいいのですが、今回のように、参加者全員でテキストを読むのも、同じくらい楽しいです。講師の藤谷さんや、他の参加者方からさまざまな気付きを得られるというのも、とてもありがたい。


今回、久しぶりに読み返して、不思議で仕方なかったのは、なぜこんなに難しい状況を選んで、小説を書き始めたのか?という事。

冒頭では、わざわざ結末が暗示するような書き方をしています。「オチ」が見えてしまうのは、リーダビリティを維持するためには、大きなハンデになってしまいます。

砂に埋もれた集落という着想はとても面白い反面、ストーリーに動きや変化をつけるのがとても難しい。一歩間違えると、平板で面白味に欠く小説になってしまいます。


安部公房さんが凄いのは、主人公の葛藤を生み出し、そこから生まれる変化を描く、というシナリオ教室で教える物語の作り方とは、全く違うアプローチで、この小説を描いた事。

理系の学者のように「砂」について徹底的に調べあげ、「砂」に関する事とその「砂」によって起こった事を、深く掘り下げる事で、主人公たちの心情の変化を描いた事。

自分一人では、なかなかそこまで作品を読みきれなかったので、とてもいい気づきになりました。


ちょうど、ボーナストラック内で朝市をやっていたので、昼食用にサンドイッチを購入。
(卵サンドとメンチカツサンド。二つで750円)

卵サンドはクミンが効いていて、少し不思議な味。三軒茶屋に店舗があるらしいので、今度行ってみよ~♪

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下北沢から渋谷に出て、新都心線の雑司ヶ谷駅で下車。昼食を採りつつ、次の目的地の池袋の天狼院さんへ。

歩いていると、先日オンラインでやっていた路上観察で見覚えのある光景が。街角に、狸の置き物なんてそうそうないだろうと思っていたのですが、こんなに簡単に見つかるとは!

ちょっと意識を変えると、今まで見えなかった光景まで見えてくるのが、不思議です。

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天狼院さんでは、昼過ぎから開催された読書会に参加させていただきました。今回のお題は「この本が無かったらどうなっていたんだと思う1冊」。


自分はデュラスの「愛人―ラマン」を取り上げました。もしこの小説が無かったら、文芸漫談に行くことも、世界の名作に触れる事も、読書会に参加し続けることもなかったであろう、自分にとっては不思議な縁を作ってくれた小説です。

オンラインとの同時開催だったのですが、オンラインはいろいろな方の話を聞ける一方で、東京ローカルなネタが使いにくくなってしまうのが難しい所です。


それでも、テーマがテーマだったので、思いいれがたっぷりの一冊が多くて、今回も面白い話を聴かせていただきました。



他の方が取り上げた中で、ちょっと読んでみたかった本