ここの所、読書会やイベントで読みきれなかった本を読んでいる事が多いです。何か、お祭りが終わったのに、一人だけグズグズと後片付けをしているような気分になります。世間は、十二国記一色ですが、僕も当時の取引先の女性に薦められて、はまった口なので、もちろん続きは読みたいのですが、それが実現するのは、もう少しあとになりそうです。
関連本でまず、読み終わったのが、宮本常一さんの「忘れられた日本人」。以前から読みたかった本ですが、予想以上に読みやすかったですし、内容も面白い。特に、ここに入っている「土佐源氏」という一篇なんか、ただのじじいのエロ話しですねえ。10月にB&Bさんで行われた、畑中章宏さんの講座で、この作品の語りの多様さについて指摘していましたが、なるほどと、深く納得。この本の面白さの大きな理由のひとつが、この語りに合わせて、文章を微妙に替えている、常一の技量とセンスによる所が大きいのだろうと思います。今回の講座で、常一がどんな人生を歩んできたのかも気になったので、「民俗学の旅」もいつか読んでみたいですね。

- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/05/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/12/06
- メディア: 文庫
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以前から読みたかった本なので、これを契機に読もうと思い、読書会に参加するきっかけになったのが、小島信夫「アメリカンスクール」。戦後間もない頃、見学のためにアメリカンスクールまでの道のりを歩く人びとを描いた、短篇小説。60ページばかりなのですが、読書会の時にもさまざまな意見が出て、一筋縄ではいかない小説だな、という印象が。この文庫に載っている作品全体に共通しているのですが、言葉のやりとりや、身体の動きは、かなり正確に描かれているのに、目の前で起こっている事は、現実からずれている。どこまで狙って書いているのかはわかりませんが、読んでいて、足元がぐらついてくるような気分にさせてくれる作家さんだな、と思いながら読んでいました。

- 作者: 小島信夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/06/27
- メディア: 文庫
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読書会のために、物凄く久しぶりに読んだのが、三島由紀夫の「金閣寺」。

- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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現実と上手く折り合いがつけれずに、概念の世界に逃げ込んでしまう。「どもり」の自分を必要以上に世界から選ばれた特別な人間だと思ってしまう。そんな所が、「こいつ駄目なヤツだなあ」と思いつつも、若い頃以上に分かってあげたくなった自分は、こうした本のお陰で、少しだけ客観的に世界を見る事ができるようになったんだろうなあ。そう、自分が出会ってきた様々な本たちに感謝しながら、本を読み進めていくのでした、とさ。