だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。三鷹・立ち食いそば「いろり庵きらくアトレヴィ三鷹店」。iaku「逢いにいくの、雨だけど」@三鷹市芸術文化センター 星のホール。

今日は久しぶりに夜舞台を観に行く。当初は19時半開演だったのですが、都からの要請(という名の圧力)で、21時までに終わらせないといけなくなり、急遽、開演が30分繰り上げになる。余裕をもってスケジュールを組んでいたのが、一気にタイトな展開に。仕事もそれなりにありますし。

それでも何とか定時で仕事をねじ伏せて、ダッシュでバスに乗る。いいタイミングで、少し遅れていた池袋行きのバスに乗り、運良く座れてしまう。本当は、途中で降りて電車で移動した方が早いうえにリスクも低いのです。本来ならそうすべきなのですが、座り心地の良さにあっさりと負けてしまい、バスが走るがままに池袋に。そして、その判断は見事に裏に回ってしまいます。

本当なら、道路がそんな混んでいないのに遅れているのを、どこかおかしいと思わないといけないんですよね。若いドライバーさんなのですが、これが、まあ、とにかく安全運転なのてすわ(笑)安全運転を心掛けすぎてしまったがために、バスが定刻通りに走ってくれません。急いでいない時でしたら、最高にありがたいドライバーさんなのです。けど、今日だけは、あなたに出合いたくなかった~(泣)

池袋から新宿に行くのに、山手線より早いし座れる確率が高いので、埼京線に賭けたら、接続が最悪で、通勤時間帯なのに10分近く待たされてしまいます。新宿に着いた段階で、見込みよりも20分弱の遅れ。それでも、さすがに事故さえなければ中央線快速は早く来てくれるので、それに乗り、三鷹着が18時25分。ここから南に20分弱歩いた所が、本日の目的地、三鷹市芸術文化センターです。


そこで、一つ問題が。ここから急いでいけば歩いてもギリギリ間に合いますが、終演する頃には飲食店は軒並み閉まっています。なのでここで、急いで劇場に入ると、自宅に帰る22時前までは食事が出来ません。これはちょっとしんどい(;´Д`)

なので、最悪タクシーを使うこと覚悟で、構内の立ち食いそば屋「いろり庵きらく」さんへ。メニューをよくみると、チェーン店の他の店ではお目にかかれない「武蔵野うどん」の文字。迷わず頼んでみる事に。

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肉ねぎ汁うどん 580円

時間がなくて味わう所まではいきませんでした が、極太のこしのありすぎるうどん、それに負けない甘めの汁。確かに武蔵野うどんです。大盛ができないなどいろいろと制約はありますが、駅の立ち食いそばで武蔵野うどんが食べれるのは、とてもうれしい事です。


食べ終わって駅の外に出ると、いいタイミングでバスが来ていたので、それに乗り劇場に。やれやれ何とか間に合いそうです。



で肝腎の舞台ですが、2018年に初演だったものを同じキャストで再演になったものだそうです。初演では、作品の内容とともに、かなり角度のある階段のセットが話題になったそうです。しかし、今回は役者さんがかなり大変だった事もあり、緩やかで短めに変更になったそうです。


10才の時、絵画教室で片目を失明させてしまった少女、失明してしまった少年。

25年後、少女は駆け出しの絵本作家になり、少年は自動販売機の営業の仕事をしていた。彼女がデビューするきっかけになった絵本の主人公が、たまたま10才の時少年が描いていたキャラクターにそっくりだと気づいた二人は……。

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事件の起こった25年前の二人の両親たちの目線と、今の二人の目線とが交互に語られる構成がとても秀逸です。特に、当事者ではないけど、保護者ではある双方の親たちの目線が入ってくる。この事で、この作品の大きなテーマである「許すこと」「許されること」の、ひと筋縄ではいかない所が、とても巧くかつ丁寧に描かれています。本当は子供たちの問題なのに、いつの間にか普段の親同士でわだかまっている問題に刷りかわってしまっています。そんな人のどうしようもない身勝手さ。こうやって舞台で観ているからある程度は客観視できます。けど、もし自分が同じ立場に置かれてしまったら、似たような態度や行動を選んでしまうんだろうなあとも思ってしまう。捉え方は、その人の立場や考え方があるので千差万別なのでしょう。ただ観ていて起こっていることを、自分に置き換えて考えずにはいられなくなる人が多いだろうとは思います。そんな想像力をとても刺激してくれます。

そう感じられるのも、登場人物一人一人の内面がきちんと深掘りされているからでしょう。一つ一つの台詞が少し軽くて場から浮いているなあと感じてしまった部分も所々にありました。けど、それがやり取りになると、上手くリカバリーしているだけでなく、大変に見応えのあるシーンになっている。もともとの脚本の良さも勿論ですが、再演という強みを生かして、一人一人の役者さんが、かなりしっかりと役と向かい合われた事が、客席にも伝わってきます。

約二時間ちょっとの上演時間なのですが、それを感じさせない位舞台に集中することができた、面白い作品だったと思います。厳しいスケジュールでしたが、観ることが出来て本当に良かったです。