だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。文学の教室。山椒魚戦争その3。

昼から、本屋B&Bさんで文学の教室。3ヶ月で山椒魚戦争を読む、の最終回です。中止になるかもしれない、と心配していましたが、継続した講座である事、少人数である事などを考慮していただいて、特別に開催できる運びになったとの事。とにかくありがたい限りです。

B&Bさんも、4月1日から別の場所に移転するという事なので、18~31日まで、しばらくリニューアルでお休みするそう。ここでの講座も、この日が最期。そう思うと、少しだけ感慨深いです。

今回は最終章に当たる、3章を中心に、講師の藤谷治さんからお話しがありました。他の受講生の方も関心が集中したのは、やっぱり一番最後のエンディングで、作者自身が出てきて、この作品の結末をどうつけたらいいのか分からない、と自問自答するシーン。読んでいたときも、「おい、おい。ここまで引っ張ってきて、結末はそれかいな」とツッコミたくなった所です。けど、いくつか考えられるエンディングを想像してみるものの、どれも、ありえない(リアルではない、という事です)かつまらないか、もしくはその両方かになってしまう。藤谷さんは、このエンディングを「チャペックの誠意のあらわれだ」と仰ってましたが、なるほどと。そう言われてみると、確かに、この自問自答があるから、この小説は「終わる」事ができたのではないかという気がしてきます。そうでなければ、我々はこの作品と未完のまま向き合わされる事になったに違いないです。


「作者から見たら、その場その場の事情で小説を書いている」

藤谷さんは、そうも仰ってましたが、おそらくこの小説は、「答え」を出すという事よりも、「問い」について考える事が、チャペックにとっての「事情」だったのではないでしょうか。ご存命されている方ではないので、ご本人にお伺いする事はできませんが。


それと、同じように話題に出てきたのが、この小説と現在の状況が、驚く位酷似していること。確かに、山椒魚をウィルスに置き換えるとびっくりするくらい似ています。マニアの本扱いされやすいSF小説ですが、名作と呼ばれている作品は、現代をリアルに切り取ったり、見事なまでに、未来を先写ししたりしているものもあります。そういった作品を、いくつか具体的に挙げてくれました。

新装版 復活の日 (ハルキ文庫)

新装版 復活の日 (ハルキ文庫)

  • 作者:小松左京
  • 発売日: 2018/05/11
  • メディア: 文庫

小松左京さんといえば、角川春樹事務所さん。この文庫の新装版の「復活の日」は、八重洲ブックセンターさんでも大々的に展開していました。今の世相に見事なまでに先取りしていた、という事もあり、売れているそう。個人的な話しにはなりますが、うちの会社の入社試験で「感動した本」というタイトルで作文を書かされた時に、取り上げたのがこの本です。懐かしい!

ガリバー旅行記 (角川文庫)

ガリバー旅行記 (角川文庫)


来月は、リニューアル後のお店で、谷崎潤一郎の「細雪」を取り上げるそう。う~ん、長い(笑)けど3ヶ月あるし、マルケスル・グウィン吉本隆明も、この教室のおかげで読めましたから、まあ今回も大丈夫でしょう。

細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)