だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。国立劇場12月歌舞伎1部@大劇場。半蔵門・喫茶「花水木」。

想定通りとはいえ、昨日が慌ただしかったので、今日はおとなしめに。早めに家に帰って掃除・洗濯を筆頭に家事をやりたいですしね。

前回遅れてしまったので、気持ち早めに家を出て国立劇場の歌舞伎公演に向かいます。余裕があるかなと思って買い物しようと思ったら、隣のカップルらしき二人が時間がないといって慌ててるので、こちらも慌てて劇場に行ってしまう。急いでチケットを切ってもらってパンフレットを買ったあと、劇場の時計を見ると、まだ公演25分前。きちんと確認しなかった自分のミスです。デマってこういうふうに起こるんだな、という事を身を以て体験します。

それにしても何であのカップル(特に女性)は急いでいたのだろうか?他の劇場で文楽とか落語の公演はありましたけど、11時より前の時間に始まっているものは、今日はないはず。何か初歩的な勘違いをしたのか?それとも何か彼女たちも誰かに踊らされていたのか?不思議ではあります。

今回の演目は河竹黙阿弥の「三人吉三巴白浪」の見せ場の何幕かを抜粋したもの。上演前にパンフのあらすじを読んでみます。すると人間関係が複雑すぎて、所々に「?」が。なので、かなり不安を感じたのですが、いざ見てみると、その辺の見せ方がかなり丁寧に作られているので、あらすじを読んでいた時ほどの分かりにくさはなく、ひと安心です。それにリズムもいいですし、華のある見せ場がたっぷりなので、アウトローな三人の盗賊が主人公なのですが、観ていてどこか爽快感があります。勉強不足なのですが、この作品は黙阿弥の作品の中でも代表的な作品にあたるそう。江戸末期から明治前期にすでにこれだけ緻密な作品が描けている。黙阿弥って本当に凄いですね。

そう考えると、そこから遡ること200年近く前に、今でも充分に通用する作品を描いていた近松門左衛門っていう人の化け物っぷりを、改めて実感します。そしてそれが実感できるのも、今の人にも伝わるように調整を加えながら、歌舞伎や文楽で上演できている、という事があるからこそです。歌舞伎や文楽といった伝統芸能に携わる方たちは、コロナの影響を特に大きく受けてしまっているかと思いますが、何とかここを堪えて踏ん張ってもらいたいものです。


うちにある近松の本。江戸時代は話し言葉を書き言葉に置き換えるという概念がなかったので、文楽の大夫の浄瑠璃を口述筆記したような書かれ方をしています。これだけ話し言葉が使われている優れた作品が作られているのに、その話し言葉を文章として記す方法が江戸時代まではほとんど発達しなかった。そこから明治の人達が悪戦苦闘しながら、話し言葉を小説のなかに組み込んでいく。最近、そのプロセスに大変興味があります。

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幕間の休憩時間に、以前から気になって仕方のなかった、1階の喫茶室の「国会カレー」なるものを食す。本格的なビーフカレーで、思った以上に美味しい。基本はかなりマイルドです。最近流行っているスパイスカレーとは違い、肉や野菜の旨味が前面に出ていてスパイスはあくまでも素材の良さを引き出す、古き良き伝統の味。どちらがいいかという優劣はつけれはせんが、たまにこういうカレーを食べると凄くホッとします。名前の通りこのカレー、国会で出されているものだそう。議事で疲れたあとにはピッタリの味です。

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国会カレー 1100円。