残念ながら演劇ワークショップは中止になってしまいましたが、替わりに朝から最近お世話になっている神保町の読書会さんへ。今回は、課題本形式で、お題は朝井リョウさんの「正欲」。朝井さんの本は一度じっくりと読んでみたかったので楽しみです。
この本、いろいろな切り口から読めますが、最近もてはやされている「多様化」という言葉の持つ問題点を、実に見事に小説で抉ってくれる、という一面があります。「多様化」とは言っても、所詮は自分達が理解できる範囲のものに対しての事。そうでない少数派はケースによっては合法的に排除さえされてしまいます。
今回の読書会でも、その辺の事に触れられる事があり、参加者のみなさんの置かれている状況によって、作品に対して実にさまざまな見方や感じかたをされていて、聞いていてとても刺激的なことの多い読書会でした。ここの読者会は割りと若い世代の方の参加が多いのですが、とてもいい本の読み方をされている人が多いのです。なので、世代関係なしで、とても刺激や勉強になることが多く、楽しいです。
終わった後は、早めに失礼させてもらい、ダッシュで半蔵門に。こちらも演劇ワークショップの中止で急遽行ける事になった、国立名人会にお邪魔させていただきます。ワークショップが中止になった時には、不明瞭な基準で無理矢理、劇場や美術館を閉館にした都の横暴さに強い怒りを抱きましたが、今日についてだけは結果オーライだったのかな、とは思います。それでも、劇場や美術館や映画館がダメで、1000㎡以下のパチンコ屋やゴルフの打ちっぱなしがいいのが何故なのかはさっぱり理解できませんが。特に、後者はゴルフ好きな議員の圧力が働いているのでは、と勘繰ってしまいます。いかん、いかん脱線してしまいました。
今回の国立名人会、本来はトリで五街道雲助師匠が「中村仲蔵」を演じる予定だったのですが、師匠がコロナに感染されてしまい、残念ながら休演。代役にお弟子さんの白酒師匠がトリを務めます。
「私は中村仲蔵じゃなくてもいいと言われたから引き受けたんですからね」とボヤキながらも、替わりに、同じ歌舞伎の忠臣蔵を題材に取った「四段目」を熱演。所々、中村仲蔵の小ネタを混ぜてくれるサービスには、自分も含めてお客さんが大喜びでした。雲助師匠の仲蔵が見れなかったのは残念ですが、もう一人の弟子の馬石師匠もいい高座を見せてくれましたし、師匠と弟子の絆のようなものが垣間見る事ができ、落語ってこういうとこはホントにいいよなあって思いました。
(演目)
・桃月庵あられ 「饅頭こわい」
・三遊亭鬼丸 「のめる」
・隅田川馬石 「粗忽の使者」
・三遊亭歌武蔵 「茶金」
仲入り
・アサダ二世 奇術
・桃月庵白酒 「四段目」