だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。町田市民文学館ことばらんど「57577展」「記念対談 鈴掛真×天野慶」

昼前まで、乃木坂48時間TVを見ようか。それとも早めに家を出て町田に出ようか。悩んだ結果、早く出ることに。

京王線で橋本まで行き、横浜線に乗り換えて町田に。ロマンスカーミュージアムの帰りに寄って以来、久々の町田。去年の6月以来です。

一番の目的地は町田の文学館ことばらんどの「57577」展を見て、14時からの記念対談を聴くこと。

そして、出来ることなら、去年雨で断念した、国際版画美術館に行くこと。早めに出てきたのはそのためです。


町田は若い頃営業で回っていたので、それなりには土地勘のある場所。美術館の前も何度か通っているし大丈夫だろうと思っていたら、見事なまでにたどり着けない。

所々に案内板や地図もあります。それほど見当違いの場所を歩いている訳でもありません。けど、不思議な位たどりつけない。


結局、一時間近く歩いたあと、諦めてもと来た道を戻る事に。一度地図を見た交差点でもう一度確認してみると、どうやらそこで曲がる道を間違えてしまったらしい。

そして、そこから回りを込んで、最終的にはもうちょっとで美術館にたどり着けたらしいという事も判明する。

後の祭りって、こういうことをいうんだなあ~、(笑)

それにしても自分、ホントに地図が読めんなあと思ったものの、もう13時過ぎ。版画美術館の方は断念して、気持ちを切り替えて、ことばらんどに向かう。よしっ、今度は迷わず無事にたどり着けました。


世田谷文学館でもらったチラシが気になって見に来たのが、今回の「57577」展。短歌自体は以前から気になっていたジャンルなのです。

ただせっかちでマイペースな自分。他人のリズムや間合いで言葉を味わうのが、本当に苦手です。

今回の展示、さまざまなアプローチで視覚に訴えかけるような仕掛けが施されています。歌集で文字として並べられているよりは、こちらの方が歌と付き合いやすいので、個人的にはとてもありがたいです。


たとえば、短歌が57577の31文字。カレンダーの日付が31日。当たり前の事ではあるといえばその通りなのですが、その二つを繋げて考えるのは、なかなかない事。

今回の展示のようにビジュアル化してもらえると、なるほど、と目から鱗が落ちたような気分になります。

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鑑賞するだけではなく、実際に作ってみるコーナーもあります。子供に混じって、楽しんでしまう私。

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天野慶さんが監修されている、「57577」という短歌のボードゲーム。シンプルですがなかなか面白いです。

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「くり返す 既読無視する プニプニの
夏のはじまり 黄昏どきに」

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「こっそりと 忍者の里に 犯人は
パジャマ姿の 筋肉に聞け!」

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棚にある5文字のタイトルの本と、7文字のタイトルの本を組み合わせて、短歌を作るコーナー。

「モーメント みんなの秘密 朝ごはん
坂本ですが? 愛に似たもの」


57577展の他に、三井永一さんの挿絵展も開催されていました。このおどろおどろしい感じ。どこかで見たことがあるなあ、と思っていたら横溝正史全集の挿絵を描いていたそうです。

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14時からは、歌人の鈴掛真さんと天野慶さんとの記念対談。日頃から短歌を作っている方たちが多数派を占める。日常ではあまりお目にかかれないに空間に身を置いている状況が、まず面白いです。

前半は、鈴掛さんが展覧会のために作ったショートフィルムを、ご本人のコメンタリー付で見ました。

休憩した後に、後半はそこを足掛りにして、お二人が短歌について語り合ったり、質疑応答に答えてくれたりしてくれました。


ショートフィルムは、

「付き合って何年か経っているカップルが、彼女が実家に帰るために別れる」

というのがざっくりとしたストーリー。

57577展らしいのは、そのやり取りの全てが短歌で行われる事です。鈴掛さん自身もおっしゃっていましたが、短歌を主役に据えた映像作品というのは、あまりお目にかかった事がありません。

別れ話を描いたにしてはやや甘美すぎるのでは、と感じましたが、これはあくまでも個人の好みの問題。スマホ一台で撮影したとは思えないレベルの作品ではあります。

二人が出ているシーンの間に挟まれる、風景のカットの作りの面白さは、下手な映像専門の作家さんを上回っています。日頃から「間」について突き詰めていないと、こういう映像はなかなか撮れないんじゃないでしょうか


今回、鈴掛さんがショートフィルムを撮影したのは、短歌と外の世界にいる人達とのタッチポイントを作るためだそう。

少なくても、僕は今回の展示のお陰で今までより短歌に興味を感じています。


たまたま大学時代に借りた天野さんの歌集がきっかけで、作品を作り始めた鈴掛さんのようにはいかないとは思います。

ただ、いい刺激は受けたので、これをきっかけに短歌とのタッチポイントは増やしていけたら、と思います。