星のホールの芝居が終わって、三鷹駅まで着きそこからどう移動しようか悩む。次の目的地は、新宿三丁目にある道楽亭さん。多分、中央線で新宿まで行き南口から歩くか、荻窪で丸の内線に乗り換えて、新宿三丁目で降りるのが一番間違いのない線。ただ、時間に少し余裕があるので、いつもと違うルートで歩いてみたいとも思います。
なので、今回は総武線に乗り千駄ヶ谷駅で降りて、新宿御苑沿いに時計回りに歩いてみる事に。思った以上に目的地に近づいてくれず、ほんの少しだけ焦りましたが、なかなか楽しかったです。新宿御苑を裏側から見ると、出来てからかなりの時間が経過している事もあり、手入れの行き届かない所は独自の生態系が出来上がっていて、なかなかに面白い。中を歩いているだけではなかなか気が付かない発見です。
こうやって歩いていて実感するのは、この周辺のエリアに新宿御苑、代々木公園、明治神宮等の自然豊かなエリアを配置した、都市開発に携わった人達の炯眼。もし、新宿と渋谷の間にこの緑の緩衝地帯がなかったら、東京そのものが、もっとまとまりのない場所になっていたでしょうし、新宿、原宿、渋谷は個性のない街になっていたに違いありません。うん、凄いなあ。
そんなこんなで、のんびりと一時間弱位歩いていたら、開場時間ギリギリに道楽亭さんに到着。本日は、活動弁士の坂本頼光さんと鶴瓶師匠のお弟子さんのべ瓶さんという、異色の二人会。もうすでに10人弱の方が先に並ばれています。お二人の、特に坂本頼光さんの人気を甘くみていました。
オープニングのお二人のトークでもおっしゃっていましたが、何といっても坂本さんは、この日放送分の「笑点」の演芸に出演されてた方なのですから(笑)国民的番組に出演されていた方を20人ちょっとで独占できる贅沢っていったら……。もう、たまらないです!6時半からはじまってみっちり2時間半。二人ともサービス精神がありすぎて、21時を回って都から睨まれないかと、こちらがヒヤヒヤしてしまいました。
(演目)
・頼光 「喧嘩安兵衛」(坂東妻三郎主演)
「サザザさん 第7話」
・べ瓶 「鼠」
仲入り
・べ瓶 「真田小僧』
・頼光 「鳥邉野心中」(林長二郎主演)
「サザザさん」は坂本さんが作画、編集、声を全て独りで行った、自主製作アニメ。日曜夕方に放送されている某国民的アニメのパロディーですが、猛毒が半端ないです。アゴラ劇場で初めて1話を見たときの衝撃はいまだに忘れられません。いつか某財団に消されるのではないかと、心から心配になってきます。今回上演した7話は、先日お亡くなりになられた、田中邦衛さんがなぜか登場する回でもあります。
べ瓶さんの「真田小僧」は子供目線から語っている、少しだけ異色の作品。師匠に三回破門されたトンパチさと、三回許された落語や人への愛情。その両面併せ持っているのが、べ瓶さんの大きな魅力だと思います。
鳥邉野心中の主演の林長二郎さんは、のちの長谷川一夫さん。男の自分が見ても、ほれぼれとするいい男です。この人なら、女性が片っ端から一目惚れするという設定も納得です。