だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。文学の教室「侍女の物語」その2。下北沢・発酵料理「発酵デパートメント」。

昼からの「文学の教室」。流石の自分も、今回はオンラインにするか、直接現地に行くか悩みましたが、結局、現地に行くことに。12日以降の緊急事態宣言の対象がこの上なく分かりにくい事。都民の移動を減らしたいがあまり、都が必要以上に変異種の危険を煽り、都合が悪くなると「未知」一点張りで済ませようとすること。その二点が、どう動いたらいいのか判断する上で大きな障壁になってしまっています。正しい情報とそれを見極める能力の大切さを、苦々しい思いとともに、今さらながら感じずにはいられません。

焼け石に水かもしれませんが、混雑しているであろう下北沢を避けて、世田谷代田からB&B さんまで行くことにします。Bonus Trackの敷地内が公園のようになっていて、歩いていて気持ちがいいです。

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今回の教室は前回に引き続き、課題図書はアトウッドの「侍女の物語」。ネタバレにならない範囲で、作品の魅力がどこにあるのかについて、藤谷さん流に解説。SFがScience Fiction(科学小説)としてだけでなく、Speculative Fiction(思索的な小説)という捉え方でこの作品を見てみると、という見地からお話がありました。

著者のアトウッドは「侍女の物語」を書くときに「歴史上起こらなかった事は書かない」とルールを自らに課していたそうです。そこに周到な準備と、精密で的確な描写力と、一人称の視点。それらの要素が合わさると、今までほとんど読んだことのないレベルの鮮明なビジュアルイメージを持った小説ができるのかと、一人勝手に納得してしまいました。小説の根幹には「普通名詞に対する『私』の戦い」という一面があり、この小説はまさにそれと向かい合った小説という指摘には、自分がなぜ本を読むのか、という事を再確認させられました。

アトウッドは、トランプ政権の誕生の危機感から、30年ぶりにシリーズの続編にあたる「誓願」を書いたそう。70代後半になるのに、このエネルギーは凄いです。そして、どうやら「侍女の物語」に勝るとも劣らない位、面白いそうです。う~、悩ましい。でも、その前に今読んでいる作品を読みきらねばっ!読書へのモチベーションが復活してきたのは、何よりもありがたいです。

侍女の物語

侍女の物語

誓願

誓願


教室が終わったあと、久しぶりにADDAさんでカレーを食べようかと思っていたら、ちょうどご飯が切れてしまって、15分~20分待ちのよう。そのまま待とうかとも思ったのですが、発酵デパートメントさんのカフェが空いていたので、今日はそちらにお邪魔してみる事に。以前お邪魔した時は、オープンしてからそれほど経っていなかった事もあり、接客やオペレーションがかなりぎこちなかった部分があったのですが、どうやらそれがかなり改善されたようです。新規店って、お客や店舗の方が慣れる前にいかにファンを作るかが、大切なようです。

今回は、発酵体験米麺セットを注文してみる事にします。まず、三種類の醤油を試食して、自分が気に入ったものを薬味等とブレンドして麺を頂くスタイル。野菜スティックは小鉢の味噌や調味料をつけながらいただきます。

底引きたまりは、口の中に広がる香りと醤油の味がとても濃厚で、純度の高い味。普段使っている醤油が少し薄めているのでは、とさえ感じてしまいます。鶴醤は、底引きたまり程の濃厚さはありませんが、上品で純度の高い味です。いしるは、魚醤(魚を発酵させて作った調味料)だけあって、醤油本来の味の他に魚の旨みが前面に出ています。少しナンプラーに似ているところもあり、個人的には一番好みですね。

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三種類の醤油。左から底引きたまり、鶴醤、いしる。

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発酵体験米麺セット 1400円

調味料がメインなので、麺と野菜はどうだろう、と正直思っていたのですけど、これがかなりのハイレベル。特に野菜が甘くて凄く美味しい。味噌や醤油の能力の引き出し役としても申し分ありません。一つだけ贅沢をいうと、別売りでいいのでこれにお茶碗のごはんがあったら!あ~っ、メシ食いてえって店のなかで叫びそうになってしまいましたよ、ワタクシ。


この発酵デパートメントのオーナーは、「発酵文化人類学」等の著者でもある小倉ヒラクさん。本で読んだものが、実際に食べてみると、発酵の凄さを、実際に体感する事ができて、とてもいい経験になります。