だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記②。巣鴨地蔵通り商店街。「きたくなるまち北区区民寄席」@北とぴあ さくらホール。

早稲田から王子まで、都電で行こうかと思っていたのですが、雨が徐々に強くなってきているので、高田馬場までバスに乗る事に。

途中、巣鴨で降りて地蔵通り商店街を歩きます。先日行けなかった、鴨台さざえ堂を目指したのですが、雨がますます強くなり、それ所ではなくなってしまいます。

そんな中でも、ときわ食堂さんにはしっかり行列が出来ているんでよねえ。時節柄も考えるとお店も並ぶ方も凄いよなあ、と素直に感心してしまいますし、そこまでしてでも食べたい、という気持ちも少しだけ分かります。

通りにあった、福寿庵さんのシベリアロールにはかなりそそられましたが、今日の所は諦める事に。とにかく雨を避けれる場所に行くことが最優先です。


結局、庚申塚駅から都電に乗り、都電で王子駅に。少し早目に北とぴあに着いたので、館内をウロウロしていたら、地下の陳列室と書いてある場所に、大河ドラマ館にあった衣装が。

あまりの唐突さと無造作さに、びっくりしてしまいましたわ。



ドラマで渋沢夫妻が着ていた衣装。


14時からは、北区の区民寄席。今年も、自分好みのなかなかいいメンバーが揃っています。

その中でもお目当ては、若手落語競演会で大賞を受賞し、今年真打ちに昇進する、小辰さんと昇也さんのお二人。


僕が、小辰さんを聴くときには、何故か「高砂や」に当たる率が高いのですが、聴くたびに少しずつブラッシュアップされて面白くなっているのが嬉しいです。若手の噺家さんを聴いていて、いいなあと感じるのはこういう時です。


昇也さんは、軽妙だけど軽薄にならないギリギリの所を上手く狙っているな、という印象。それがテンポ良く、けど聞き応えのある高座につながっています。

枕で、仲入りと終演後、出口付近で昇進披露興業のチケットを持ってお待ちしているというご案内。ネタかなあと思って、仲入りの時に見に行ったら、本当にいる~!


ええ、もちろん買わせていただきましたとも!!


仲入り後は、落語会なのか歌謡ショーなのか分からない、レアな組み合わせの3人。今日の市馬師匠は相撲甚句を歌っていました。どんだけ「歌」の引き出しがあるんだ、この人は(笑)


一人芝居フェスでは、伯山師匠の披露パーティーでの裏話を浪曲風にアレンジして爆笑を取っていた、太福師匠。今日は、曲師の方を連れての平常営業です。

声も素敵なのはもちろんなのですが、物語の切り取り方や言葉の選び方がとにかく素晴らしい。一瞬で、話しの世界の中に引き込まれました。

(演目)
・三遊亭美よし「狸鯉」(開口一番)
・入船亭小辰 「高砂や」
春風亭昇也 「壺算」
春風亭一之輔愛宕山

~仲入り~

玉川太福 「祐天吉松 飛鳥山
曲師 玉川みね子
江戸家まねき猫 動物ものまね
柳亭市馬花筏

日記①。新宿・立ち食いそば「梅もと 小田急エース南館店」。早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)。演劇博物館。

朝から雨。おまけに肌寒い。今年の春は寒暖の差が激しくて、喘息もちの身にはちときついです。

昨日の予防接種の副反応も、左肩の痛み以外はほぼなくなり、出掛けられるコンディションにまでは回復。

昨日も、結局熱は出なかったので、無理すれば出掛けられない事はなかったのですが、自重して正解だったようです。やれやれ。

ε=( ̄。 ̄ )


春休みというという事もあり、雨降りの朝でも電車は結構混雑しています。来週から少しずつ通勤電車も混んでくるかと思うと、少しだけ憂鬱な気分にはなります。


テンションが落ちきらないうちに、朝食を取って気分転換する事に。以前の場所が閉鎖されて、京王線を降りてすぐ、小田急エースの地下通路に移転した、梅もとさんへ。

麺は細くのどごしがかなり良くなり、お寿司類を中心にサイドメニューも増え、オペレーションも手直しした模様。

以前とは別店舗のように様変わりしています。おかげで、味そのものも美味しくはなっているのですが、何でしょう、このしっくりこない感は。

棒寿司も完全に解凍しきれていませんし、かきあげも注文した事を後悔するパサパサ感。立地が立地なだけに、平日のピークタイムも想定して極限まで効率的にした所までは分かるのですが、その反動で、所々の仕事が明らかに雑になってしまっています。
職人仕事をしていたベテランのおじさん、おばちゃんもいなくなったのも、かなり残念。

近くの嵯峨谷を筆頭に、かめや、よもだそば等、立ち食いそばの超優良チェーンがひしめく新宿西口。こんな了見では生き残れんぞ!そう、ハッパをかけたくなってしまいました。



そば棒寿司セット 590円+かきあげ単品 130円。


雨の中を出来るだけ移動したくなかったので、バスの本数の多い高田馬場からではなく、新宿から目的地の早稲田大学を目指すことに。30分ほどバスに乗ると正門前に到着。


日曜にも関わらず、かなりの人出。スーツを着ている人が多かったので、何だろうと思っていたら、どうやら大学院の授業などもあったよう。道理で学生さんにしては年が、という人が多かったのですね(笑)

それを差し引いても、僕を含めて一般人が多く、博物館やカフェが日曜日でもきちんと開いています。おまけに、グッズ売場まであります。

当たり前のように見えて、大学という事を考えると、これはかなり凄い事。ただ伝統があるだけでなく、それを守るための努力をきちんと怠らない事。他大学の出身者としては、少し悔しくはありますが、それ以上に頭が下がります。


そんな早稲田大学の中で、今話題の場所になっているのが、村上春樹ライブラリー。オープン当初はなかなか予約が取れなかったのですが、漸く取れたので、お邪魔する事。


空間もとてもお洒落ですし、外観だけでなく、調度品や空調、音響も行き届いた空間はとても居心地がいいです。

地下にジャズのレコードが流れていて、休憩できるスペースがあるのですが、読書するには最高の環境です。

まあ、読んでいたのは村上さんの本ではなくて、太宰の「新ハムレット」だったのですが(笑)


ライブラーも、村上さんの著書から、テーマ別に選書されたものまで。1冊1冊丁寧に見ていると、なかなか面白いです。

ジャズが流れている場所に、ヤクルトスワローズ関連の書籍のコーナーがある。いかにも村上さんの関わった本棚らしいです。


2階の展示室がまだ準備中だったのが、残念でしたが、なかなか貴重な体験でした。


ライブラリーを見学したあとは、出口からすぐ右手の建物にある、演劇博物館へ。

おそらく、今読んでいる「新ハムレット」の元ネタを翻訳したであろう、坪内逍遙先生の名が冠されている博物館です。


今回は展示替え中で、常設展と新収蔵品の展示がメインです。

古典芸能や映像資料など、特定のジャンルの資料が充実している博物館や劇場は、他にもあるかと思います。

ただ、日本の演劇史を体系的に学べる資料を持っている施設は、おそらくこの博物館くらいなのではないでしょうか。

博物館を持っているという事は、演劇に関する資料を収集しているだけでなく、その資料を利用した研究も体系的に行われているということ。

多数の役者や演出家を輩出している土台になっているのは、間違いないようです。



演劇博物館。



予想以上に長くなってしまったので、続きの日記は、②に上げます。


#立ち食いそば #博物館

日記。予防接種3回目。6冊目の本の感想を上げました。

先月、病院に行った時に運良く空きがあったので、3回目の予防接種に行く。

先々月や先月と比べると、病院も落ち着いているようです。先々月なんて、看護師さんが電話に出ている暇もなかったですからねえ。


受付が9時半だったので、1時間位待つのかなあと思っていたら、30分掛からずに注射を打つことができました。


接種直後は大丈夫かなと思っていたのですが、家に帰ると、注射した場所が炎症を起こし、全身がダルくて仕方なくなる。

幸い平熱だったのですが、大事を取って、午後から吉祥寺・三鷹方面に行く予定を諦め、休養に専念することにしました。

風呂に入れないのがしんどい所です。


休養がてらに、しばらく空いてしまった本の感想を書き上げる事に。6冊目は飯嶋和一さんの「黄金旅風」です。


https://kahsuke5555.hateblo.jp/entry/2022/04/02/233000


本の感想については、もう少し更進頻度を上げていきたいです。まずは、時間の使い方についての本を読んだ方がいいのでしょうか(笑)

日記。読書アドバイザー養成講座 シーズン4二日目(最終日)。

ニュースだと、週末の東京の桜の開花予想は五分咲きらしいです。

IKE BUSのツアーも、先週のようにキャンセル連発の憂き目にあう事はなさそう。ガイドさんとドライバーさんもひと安心されているのではないでしょうか。僕も密かに応援しています。


とは言っても、こちらは昨日と今日はさすがに花見の余裕は一切なし。昨日の失敗を教訓に、今日は早めに家を出て、朝食を済ませてからスクーリングです。

2月にコロナで中止になってしまった、マームとジプシーの舞台も、ゴールデンウィーク中に追加公演を行うそう。

今月は、仕事でしんどかった事や腹の立つ事が、いつも以上に多かったです。

けど、頑張っていればどこかでいい事もあるという事。自分の嫌いな奴等よりは、絶対に楽しく生きてやろうとは思います。

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最終日は、まず楽天の取次部門の役員である田口幹人さんから、「読書推進」に関しての講義。具体的な事例が多くていろいろと参考になりました。

読書家と呼ばれる人達や、業界に関係する人間は、読まない人の目線に欠けていたり、本を押しつけがちに薦めたりする傾向があるのは、ご指摘の通り。

なので「なぜ本は読まれないのか」という目線が必要というお話しは、端くれとはいえ業界の内側にいるものとしては、耳が痛いです。


「読書推進」の講義が終わったあとは、昨日のグループディスカッションの発表。なりゆきで始めて発表者になったのですが、柄にもなく少し緊張してしまいました。

芝居や読書会の場数が増えてきたので、いけるかなと思ったのですが……。少しだけ勝手が違いました。

けどこれが終われば、あとは記念講演と終了式なのでだいぶ肩の荷は下りて、ホッとしました。


昼からは、その記念講演。講師は女優でもあり作家でもある、中江有里さん。イメージしていたよりも遥かに可愛らしい方。それだけに、余計、リアルで見たかったな、とは思います。

最新作の「沙羅と万葉」の話から始まり、大阪東京に上京した話しや、過去の読書体験、児玉清さんとの思い出など。

BSのブックレビューに出演していた時に、紹介する予定の本を、実際に週に最低4冊読んでいたという話しには、ただただ驚きです。

こういう所をおろそかにしないから、浮き沈みの激しい芸能界で30年近く生き延びてこれたのでしょう。

落ち着いたら「万葉と沙羅」は読んでみよ。


まだ修了証が届いていませんが、これでスクーリングは全て終了。やっと終わったという安堵と、もうこれで終わりかという寂しさがない混ぜになり、複雑な気持ちではあります。

修了証が手元に届けば、気持ちも変わってくるとは思いますが、これがゴールでなく、スタートだという事には変わりありません。


帰りに、こだわりやさんで「ミニとろイワシ缶」があったので迷わず購入。先日行った「ごはんのおともの会」で買いそびれて、密かに探していたので、素直に嬉しいです。

中のイワシは小ぶりですけど、身がしっかりとしまっていて美味しいです。缶詰でここまでイワシの食感が味わえるものは、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

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日記。読書アドバイザー養成講座 シーズン4 一日目。

朝から読書アドバイザー養成講座。今日、明日で最期になります。

前回から漸く会場で出来た、と思っていたのですが、年末からの予想以上の感染拡大。残念ながらオンライン開催に逆戻りです。

仕方ないのはわかるのですが、参加者同士で全く親睦を深められない所はしんどい所ではあります。講義以上にグループディスカッションが面白いだけに、そういう気持ちがなおさら強くなります。


以前のオンライン開催と同じ様に、個室のネットカフェに行っての参加。家を出るのが遅くなり、文字通りギリギリになってしまい、朝メシを食っている時間がなくなってしまいました。

う~ん。仕事の疲れがいつも以上に抜けない。

(;ω;)

それでも残されているのは、あと2回。力を振り絞って、ラストスパートです。


今日は、午前中に「こどもの発達と読書」に関する講義があり、午後はレポートの講評。そのあと「コミック」に関する講義と、グループディスカッションというスケジュール。

「こどもの発達と読書」は大人が子供に薦める時に気を付けないといけない事。目的を明確にすれば本を使っていろいろな楽しみ方ができる事、等の気付きがあり、いい勉強になりました。


コミックは集英社の常務の方から話しが聴けるという貴重な機会。縦スクロールと横スクロールのコミックの作り方の違い、作家性と世間のトレンドに乗ることを使い分けたり。

対立する二つの軸を上手く見つける事を、販売戦略に巧みに結びつけている姿が見えました。


グループディスカッションは、どうやって本で儲けるのか、という切り口での議論を行いました。

うちのグループは、職種も年齢も出版業界との関わり方も、見事なまでにまちまち。当然、議論の土台になる知識や経験も異なるので、コンセンサスを作るのにかなり苦労しました。

その分、いろいろな角度からの意見を聞くことができ、とてもいい経験にはなりました。

それだけに、くどいですけど、やっぱりリアルでやりたかったですねえ。他県から来る人も相当数いますし、理屈では現状ではムリだという事は分かってはいるのですが。


スクーリング終了後は、北野エースに行き、柳ダコの缶詰を購入。良く煮込まれていて、柔らかくて、中まで味が染み込んでいて、かなり美味しい。

これでタコメシを作ったら、かなりイケるんじゃないかと思います。今度、ホントにやってみようかな。


給料も出たので、書店さんに行き、本を2冊購入。正式決定ではないのですが、どちらも読書会の課題図書になりそうな本なので、この機会に読んでみる事にします。

日記。IKEBUSアトカルツアー 西回り。ごはんのおともの会。五反田・定食「上州もつ次郎五反田TOC店」。都内ブックオフ完全制覇の旅20「ブックオフ西五反田店」。文学の教室「砂の女 3回目」@本屋B&B。

朝早めに起き、昨日に引き続き池袋方面に。午前中はIKEBUSのアトカルツアー。

花見ツアーという謳い文句だったのですが、桜が開花せずキャンセルが連発してしまったそう。気がつけば、東回りの時同様、今回も参加者は自分一人です。

寂しくないといえば嘘になりますが、大変気楽ではあります。


熊谷守一美術館が祝日でも、月曜は休館日だったのだけは完全に想定外。

それでも、

自由学園明日館→目白庭園→金剛院(マンガ地蔵)→トキワ荘マンガミュージアム

というルートで回らせてもらいました。


マンガミュージアムの1階では、特別展として鉄腕アトムの最初のアニメにフォーカスした展示が開催されていました。

放送時のセル画や絵コンテなど、貴重な資料も展示されていて、思った以上に見応えのある展示でした。

1階のフロアで、アニメの初回放送が見れたのですが、リマスターしている事を差し引いても、映像的にもかなり高品質。

それだけの作品を安く作れたので、アニメやマンガが海外でも通用する礎になったのは間違いありません。一方でアニメーターやアシスタントが厳しい労働環境下に置かれた大きな原因でもあります。

資料として素晴らしいのは間違いないのですが、見ていて複雑な気分にもなりました。



今回はきちんと撮れました。IKEBUS。



自由学園明日館。



自由学園講堂。



目白庭園。



金剛院 マンガ地蔵。



トキワ荘マンガミュージアム


見終わった後に、池袋駅の西口で降ろしてもらい、山手線に乗って五反田駅へ。次は歩いてTOCビルに向かい13階へ。

予定が空いたら行きたかった、「ごはんのおともの会」に向かいます。

文字通り、全国から「ごはんのおとも」が集まった即売会で、商品によっては試食ができるコーナーもあります。(もちろん、withライスで)

見ているといろいろな「おとも」があり目移りしてしまいますし、試食するとどれも美味しくて財布のヒモが緩んでしまいます。

長居していると、どこまでも散財してしまいそうで、給料日前に行くには恐ろしすぎる場所です。これはというものだけ購入し、予定より早めに退散する事にしました。いや~、本当に危なかった!


少し遅い昼食にしようと、ビルの地下の飲食街へ。

「おっ、ゆで太郎がある」と思っていたら、店内に「もつ次郎」なるお店も同居している、立ち食いそばの中でも珍しい店舗。

どうやら「ゆで太郎」の別業態でもともとは他の場所にあった店舗が撤収し、こちらに吸収合併されたようです。


普段は迷わず、立ち食いそばの方に行くのですが、話のネタも兼ねて、今回は「もつ次郎」の方に。

5分ちょっとで定食が到着。他の店舗でしたら充分に早いのですが、そばの提供がそれ以上に早いので、そう見えなくなってしまっているのが、つらい所です。

肝心の味の方ですが、良くも悪くももつにしては癖がなく、大変に食べやすいです。一つだけ残念だったのが、もつ煮にもつ以外何も入っていない事。

居酒屋のつまみでしたらこれで充分ですが、定食としては、大根やこんにゃくが入っていると嬉しい所です。

他の店に行くと、「もつ煮込み」なのにもつの姿がなかなか見つからないものも結構あります。

それに比べたら、とてつもなく親切であるのは分かってはいるのです。ただ今回だけは、その親切さが仇になってしまっているように感じてしまいました。



もつ煮ともつ炒めの合い盛り定食 980円(ごはん大盛までは無料)


五反田に向かう帰り道にブックオフへ寄る。場所柄、ビジネス書、特に新しめの本が潤沢に確保出来ているのが、このお店の個性にもなっています。

以前参加した読書会で取り上げられていた本や、気になった本を何冊か購入。


夕方からは、下北沢のB&Bさんで「文学の教室」。書店さんの配信スケジュールの関係で、今日だけは、月曜日の開催になります。


下北沢への移動中に、安部公房の「壁」を読み終える。「砂の女」の場合の「砂」はほぼ物質の「砂」の事を差します。

それに対して「壁」の場合、「壁」という言葉の捉え方が小説の中でコロコロと変わっていきます。なので、「砂の女」がものすごく親切に感じてしまう位、掴みどころのない小説だなあと、読んでて思いました。


今回の「文学の教室」では、安部公房の作品も含む、不条理小説や寓話の在り方についての話がメイン。

主人公が不条理な状況に対して抗い、そして報われない。そんな不条理小説のルールを遵守しながらも、既存の小説とは違った作られ方をしているそう。

日本の私小説漱石などの物語作りとは、全く異なっている。かといってヒーローズジャーニーのようなハリウッド的なものでもない。

自分の書きたいものに最適な物語の作り方を発明する所から始めて、今の時代に到っても明確なフォロワーも存在しない。

そんな凄い作品を、昭和20年代に既に書いていた事に驚きを感じますし、だからこそ作品が世界中で読まれている作家になれたのだろうと思います。

日記②。神奈川県立歴史博物館。デフパペットシアターひとみ「百物語」@KAAT大ホール。

ゆで太郎を出ると、すでに14時を10分ほど回っていたので、急いで県立博物館へ。

やっと入り口に着いたと思ったら、ちょうど裏口に出てしまい、建物をぐるりと1周する事に。自分の確認ミスとはいえ、泣けます。

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神奈川県立歴史博物館。

けど、ぐるりと回ったのは全くの無駄ではなく、こうやってみるとなかなか趣があっていい建物。

館内に入ってから知ることになるのですが、もともとは横浜正金銀行の建物だったそうです。


館内は、常設展と特別展とに分かれていて、特別展のみ有料です。ただ、割いているスペースは常設展の方が圧倒的に広いです。

県立博物館らしく神奈川県の歴史が時系列でわかるように展示されています。ただ、時代によって展示物の充実度にムラが出てしまい、この展示方法が正解なのかどうか、かなり首をかしげてしまいました。

中世の神奈川県の歴史のメインである、鎌倉幕府関係の資料や美術品のかなりの部分は、鎌倉市内の寺院や施設が所持しています。その多くは、その場所の貴重な観光資源だったり、法律の保護や縛りを受けています。

なので、重要な資料を展示しようとすればするほどレプリカや模型ばかりになってしまいます。それは、まさにこの博物館の展示そのもの。


反対に、古代や民俗関係の資料や、横浜正金銀行ゆかりの展示などは、オリジナリティもあって、とても面白い。

無理に県立博物館の使命を全うすることにこだわらず、所持している資料を一番魅力的に見せる方法を追求した方が、絶体に面白い。いいものが結構あるだけに、そんな歯がゆさを感じながら観ていました。

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ミュージアムショップもなかなかの充実ぶり。そそられて、ついつい復刻版の「よい子の交通双六」を買ってしまいました。

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見終わって外に出ると、雨が降りだしていて、少しずつ強くなってきます。

来た道を戻り、新聞博物館やメディアセンターを通過して、更に歩いて5~6分。神奈川芸術劇場(KAAT)に到着です。

以前いつ来たか忘れてしまった位久しぶりですが、相変わらず贅沢な空間です。おそらく、近くにある関内ホールと上手く棲みわけできる事を意識してるんだろうなあ。


久しぶりに訪れたのは、視覚障害の方が参加されている、人形劇談、デフ・パペットシアター・ひとみさんの「百物語」を観るため。

以前、ワークショップでお世話になった、ダンサーの白神もも子さんが演出を担当されている、というのも大きな理由です。

いい意味で変な方なので(僕の中では凄く誉めているつもりです)、人形劇とダンスと手話と音楽をどう融合させるのか、とても楽しみです。


個人的には、もう少し怖い話になるのかな、と予想していたのですが、どちらかといえば、おかしくて、不思議で、ちょっと不気味な話し。

演者さん達が手話でコミュニケーションを取っているシーンなんかを見てると、目には見えないけど、言葉にはならないけど、存在しているものが確かにある事、を実感する事ができます。

自分たちが理解できないから、という理由だけでそれらを切り捨てるという事が、どれだけ勿体ない事なのか。その事を強く感じた公演でした。


杉浦日向子さんの作品ではどう描かれているのかという事も興味深かったです。怪談物は苦手なのですが、機会があったら一度原作も読んでみたくなりました。

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