午前中は三鷹に移動して読書会。今日は漱石の「吾が輩は猫である」です。漱石という事もあり、暑さにも関わらずなかなかの盛況。
漱石初期の作品という事もあり、とにかく冗長な部分が多く、最後まで読みきるのにかなり苦労しました。それは、自分だけでなくみなさんも同様だったようです。
ただ、一方でそれを差し引いても語り口ややり取りが面白いと感じている方が、かなり多かったよう。朗読で読むとより楽しく感じられる、という意見にはなるほどと感じました。
個人的には、この本を読んだ漱石の奥さんの感想がとても興味深かったです。癇癪持ちの苦沙弥先生だけでなく、相手を煙に巻く道化者の迷亭さんも、漱石自身がモデルだったのではないだろうかという指摘には、なるほどと納得。
確かに、落語でもあまり出てこないキャラクターですし、迷亭さんって誰をモデルにしたのか、読んでいる最中、ずっと疑問に感じていたんですよね。
ちょっとしゃべりすぎてしまった、と反省する部分はありましたが、いろいろと気づきの多かった読者会ではありました。
読書会が終わった後は、吉祥寺から井の頭線に乗換え、渋谷へ移動。そこからバスに乗って国学院大学に向かいます。午後からの目的地はこちらのホール。ただ、開始まで少し時間があるので、大学の博物館を見学させて頂きます。
もともとは神道の神主さんや教育者を育成するために作られた学校のようですし、それを中心に教えていたようです。面白いのは、神道から日本のルーツを探求していくうちに、考古学や民俗学などに研究の対象が広がっていった事。
この博物館では、大学の歴史と平行して、それらの研究の成果を見学する事ができます。特に考古学のコレクションはかなりの充実ぶり。これを無料で見れるのは、なかなかの贅沢です。
企画展も含めて、写真撮影に対してかなり寛大な対応をしてくれるのに、神事の部分だけガードがものすごく堅くなる事。博物館が何を大切にしているのかが、こういう所からも垣間見えて、なかなか興味深いです。
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関わりの深い、有栖川家から寄贈されたものも。
見学しているうちに時間が来たので、常磐松ホールへ。キレイでゆったりしているだけでなく、wi-fi環境も整っていて、充電まで出来る~♪
今回ここにお邪魔したのは、狂言の講演会&上映会に参加するためです。
前半の講演は、狂言に関して初心者でも分かりやすくレクチャーした内容。主催のポーラ伝統文化振興財団の機関誌「伝統と文化」をテキストに、後半の映像を楽しむための解説を中心にお話がありました。
能=ミュージカル、狂言=セリフ主体の喜劇という捉え方は、広く見てみれば確かにその通り。今まで自分の中になかった視点なので、なかなか新鮮な考え方です。
講演が終わった後は、休憩なしで映像作品の上映会へ。今回上映されたのは「野村万作から萬斎、祐基へ」という去年製作された作品。万作氏を中心に、伝統芸能を伝えるという事の美しさや、凄まじさが描かれています。
稽古だけでなく、仕草や立ち居振舞や語り方等、生きていく事そのものから芸を磨いていく。ただ同じことだけやっていたら、ゆっくりと衰退していく運命を持っているのが、芸事の世界です。
伝統を守りつつ、個人として、一族としてどこまでそれに抗いながら、次の世代へ伝えていくのか。その途方のない作業の一端を、この映像では見せてくれたように感じます。