だいたい読書日記

元本の問屋(取次)に勤務も1/末に退社。ただ今、絶賛求職活動中。好きなものは読書、インプロ(即興劇、舞台経験あり)。その他、立ち食いそば、B級グルメ、落語、ベイスターズ、FC東京、謎解きなどに興味があります。基本自分の備忘録なので、好きな事を好きなように書いています。

日記。文学の教室 夏目漱石「こころ」1回目。国立演芸場9月中席。渋谷でインプロワークショップ。

朝から、半年ぶり位に下北沢へ。演劇が趣味になってから、ここまで間隔が空いたのは、始めてかもしれません。ひどい時には、週一ペースで下北で芝居を観ていましたから(笑)

 

午前中は、こちらもご無沙汰していたB&Bさんの「文学の教室」へ。今月から3ヶ月で漱石の「こころ」を読んでいきます。

とはいっても、初回の今回は作品の内容には一切触れず、漱石や作品の背景についての説明がメイン。他の読書会の課題図書の「坊ちゃん」を読んでいて、「こころ」が手付かず状態の自分にとってはありがたかったです。

 

大変に不勉強ですが、朝日新聞漱石が執筆以外の幅広い仕事をしていたことを、全く知りませんでした。藤谷さんのこの教室や、文芸漫談がなかったら、作家さんの為人にそこまで興味が持てませんでしたし、漱石の作品もここまで読むことはなかっただろうと思います。

紙面の連載作家の選定も行っていたそう。後任に志賀直哉を頼んだが、新聞連載にビビってしまいドタキャンされる漱石。結局は後任が決まるまで、自身の連載を伸ばす事で、尻ぬぐいする事に。

「先生」の手紙が投函できないだろ、と突っこみたくなるレベルの長さになってしまったのは、そうした大人の事情があるそうです。

所々冗長になったり、所々に突っ込み所があったり、国家ぐるみでネタバレされたり。そんな問題点を抱えながら、全く筆が止まることなく、のちのちまで読みつがれる作品になっている事が、逆に凄いです。

 

こころ (新潮文庫)

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文学の教室が終わった後は、急いで小田急線の下北沢駅に移動し、表参道経由で半蔵門へ。

 

前座さんが始まるギリギリの時間に、国立演芸場に入ります。昼からは、ここで改装前最後の落語協会の定席公演を聴きます。

まめ平さんは、直後に真打ち昇進を控えた身。親しみやすくて愛嬌のある語り口とキャラクター。この会場で披露興行が聴けないのは残念ですが、どこかで聴きに行きたくなります。

さん生師匠の「親子酒」は、枕の「飲みに行くなら小料理屋」という話しといい、実体験に基づいているのでは?と勘繰りたくなる、迫真の酔払いっぷり。

旦那さんがお代りをもらう時の奥さんの説得の仕方で、噺家さんの人柄や家庭での奥さんとの関係が垣間見えるように感じるのは、私の気のせいでしょうか?

小満ん師匠は、はぼ口の悪い江戸ッ子二人の会話だけで、古典落語の一席として成立させてしまっているのが、凄いのひと言。

会話の中身で伸縮自在に演じられますし、寄席で磨かれた芸っていうのは、こういう一席の事を言うのだろうと思います。

 

「落語界の二刀流」という自己紹介はやや滑りぎみでしたが(笑)、噺そのものは面白かったのが風柳師匠。

落語らしいバカバカしい噺をよりバカバカしく演じつつ、デコレーション過多にする事なく、リズムの良さを保っているのは大したもの。東京を拠点とする上方落語の演じ手は、ただでさえ貴重な存在。その中でも独自の個性の持ち主になり得る方だと思います。

トリは琴調先生。大御所とは思えない気さくな人柄と語り口。個人的には、好きな講釈師さんの一人です。

講談の地語りの部分があまり得意ではない自分ですが、琴調先生とは不思議としっくり来るのは相性だけではなく、語り口の随所に磨き抜かれた技術の裏付けがあるからだろうと思います。

 

(演目)

柳家小じか    「金明竹

・林家まめ平    「転失気」

・アサダ二世         奇術

柳家さん生    「親子酒」

柳家小満ん    「小言幸兵衛」

          ~仲入り~

柳家風柳         「つる」

柳家喬之助     「夏泥」

翁家勝丸            太神楽

宝井琴調         「徂徠豆腐」

 

公演が終った後は、余韻に浸る間もなく、急いで永田町から半蔵門線に。降りた後の事を考えて、表参道で銀座線に乗り替えて渋谷へ。宮益坂にあるインプロワークショップの会場に向かいます。

夕方からはインプロのワークショップを受講します。

 

インプロのシーンを演じていると、相手のオファーはきちんと受け入れているし、共演者との歯車は合っている。なのに、物語としては面白い方向に進んでいかない。そんな情況が発生する事があります。

何故なんだろうと漠然と疑問に思いつつも、深く考えた事がなかったのですが、こうした情況の事を「joining」と言うそう。

心地よい空間を現状維持しようとするあまり、リスクが取れなくなり、見ている人達からだと面白くない物語になってしまう情況になってしまうそうです。

 

なるほど!

 

仕事が最たるものですが、確かに、人は何かと現状維持したくなるもの。同じことを繰り返していけば習熟しますし、慣れていくので、ずっと同じ事をしたくなるもの。

但し、クリエイティブな出来事にとって現状維持はゆるやかなマンネリ化への第一歩になってしまいます。

今回は、そんな「joining」について学びながら、どうやったそれを回避できるかを、いろいろと試行錯誤した二時間。難しいですけど、得たものも多いワークでした。