少し早めに家を出て、王子にある北とぴあへ。先週に引き続き、今週も舞台美術ワークショップです。
前回は座学+練習でしたが、今回は本番。泉鏡花の作品を舞台模型にしていきます。「夜叉ヶ池」と「天守物語」の中から好きな方を選ぶのですが、今回は「天守物語」で。
かなり以前ですが、少年社中さんの舞台を観た事があるのと、戯曲を読んで、試してみたくなったアイデアがあったので、こちらで勝負する事に。
少し早めに行って、先生や運営の方に用意していただいた材料に、昨日の会社帰りに買ったものや、家にあったモノを足して、早速作り始める事に。
1/50のスケールで製作するのですが、ざっくり作った図面の計算を間違えてしまった事に気付き、早速再計算。
いやあ~、作り始める前に気が付いて、ホントに良かったです。1㍍=2㌢とブツブツと独り言をいいながら、プラ板をカットするはた迷惑だろうな、と思われる私。
集中して作業をしていると、時間はアッという間に過ぎていきます。端折れる所は端折りつつ、どういう舞台を作りたいのか?時間と自分のスキルと相談しつつ、可視化していきます。
舞台模型を作っていると、戯曲の全体の演出や、役者の出はけや動きをや、お客さんにどう見てもらうかも考えないといけません。
普段インプロややっているだけでは、なかなか気付けない発見もありますし、物事を多角的かつ俯瞰して見るいいトレーニングにもなります。
時間とスキルの限界で、手をつけられない部分もありましたが、その辺は端折りつつも、何とか時間内に見れる所までは完成です。
舞台は姫路城の天守閣の最上段。高さを出すためにどうするかが、まずは乗り越えるべき大きな課題。
最初は鉄骨のようなもので舞台を組むかと思っていたのですが、戯曲を読みながら考えていくうちに、段々とプロレスに(笑)
花道をつけると、プロレスのリングって、結構能舞台に近いんだなという、以外な気付きがありました。こういう所は、実際に手を動かさないとなかなか分からない事。そう考えると、能面やマスクも共通点があるように見えてきます。
そのような思いつきに基づいて作って言ったのですが、最大の誤算をロープを張るのがかなり難しかったこと。ここが時間内に仕上げられなかった事だけは、悔いが残ってしまいました。
まあ、日常ではなかなか使わない頭の回路が使えたので、収支決算で見ると大きなプラスになったので、総じて楽しかったので、結論としては『楽しかった』という事で、良しにします。
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「天守物語」の舞台模型。
ワークショップが終った後は、いろいろと悩んだのですが、近くにある「お札と切手の博物館」へ。去年の年明け以来、久しぶりの訪問です。
以前お邪魔した時には、それほど来場者がいなかったのですが、今日はなかなかの盛況。コロナの規制が緩和されたり、新札の発行が近づいてきたり。追い風になる要素が、いろいろとあるからでしょうか?
偽造防止の歴史を見ていると、技術の進化が本来のお札だけでなく、偽札技術の進歩にも繋がっているという、皮肉な現実も思い知らされる事に。材料と条件さえ揃えば、古いお札だったらコピー機でも作れそうです。
そんな偽造とのいたちごっこに、常に先んじつつ、必要な時に大量に印刷しないといけないというのは、かなりハードな命題。
新札発行する背景には、お札の発行に関わる方達の技術を常に磨き続けなければいけなない、という一面もあるようです。
造幣局の博物館という事で、お札の他にも切手や印紙、パスポート等の展示も。販売する側の郵政が運営している逓信博物館と、少し内容が共通している所が面白いです。
日本最古の印刷機や切手が展示されていたり、地味ながらなかなか見応えがあり、再訪問でも楽しめました。
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新札の肖像画の原画。これが見れるのは、この博物館ならでは。
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一億円札の重さを体感できるコーナー。だいたい10キロ位だそう。結構重い。
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日本最古の印刷機
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日本最古の切手
王子を出たあとは、南北線で目黒駅を目指す事に。時間があったので、その前に、溜池山王駅で途中下車。無人書店で話題になっている「ほんたす」に寄ってみます。
会員登録しないと中に入れないそうなので、面倒かと思いきや、ラインのアプリを利用してるので、アプリさえダウンロードしていれば、かなり簡単に登録を済ます事は出来ます。
中はベストセラーが中心のよう。完全無人ではありますが、商品の補充は人力でやっているようです。東京メトロ内に複数の店舗が出来れば、もっと人件費面での効率は良くなりそうです。
今のトレンドをコンパクトかつ静かに見れるのは、嬉しい所。反面「駅ナカ」を謳いながら改札外だったり、商品を買おうとするまでの決済方法が分かりにくかったりかったりなど。
無人という事を差し引いても、お客に対するサービス面という部分や、案内の分かりやすさ等はまだまだ物足りなさも。物珍しさがなくなる前に、ホスピタリティや利便性をどう向上させるか?この辺が定着できるかどうかの鍵になるかと思います。
アイデア自体は面白いので、個人的には頑張ってもらいたいですね。
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目黒駅に到着した後も、まだ時間に余裕のある状態。駅前をゆったり見るのもいいのですが、今日は歩いて元競馬場方面に向かう事に。
有名な寄生虫館って、大鳥神社の近くにあったのは知りませんでした。生まれたのが目黒区にも関わらず、この辺の土地勘が全くないんですよねえ。今度、日中にこの辺を歩いてみたいですね。
坂が多いので、夏は勘弁ですが(笑)
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目黒寄生虫館。開館していないと、通常のビジネスビルと区別がつきません。
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油面地蔵。お顔が幕に隠れているのが、逆に少し新鮮です。
19時半からは、ふげん社さんのギャラリーで駒治師匠の鉄道落語会を観覧。ここ2回はアーカイブでしたが、久々のリアルタイムの会場での参加です。
この落語会の場合、スライドショーも大きな見せ場なので、軽々しく「聴く」という言葉が使えない!
前半はネタ下しの鉄道落語が一席と、スライドショー。ネタ下しは、誰もが嫌がる、新幹線の三人掛けの真ん中「B席」を予約せざるを得なかった人達。そんな彼らの姿を描いた、悲喜こもごもの噺。
おばちゃん達は、何故真ん中に他人がいても平気で座席を引っくり返すのでしょうか(笑)
そして嫌がられながらも、何故その他人といつの間にか仲良くなってしまうのか?
最後には、そんなB席の存在意義が見つかって良かったです。
お楽しみのスライドショーは、開業したばかりの宇都宮ライトラインの乗車記。前駅が大量に増えて、大喜びの前駅評論家の師匠。過去に撮影した全国の路面電車のスライドも大量に見れて、ひと粒で2倍美味しかったです。
仲入り後は、各駅停車を乗り継いで旅をする、18キッパー達(青春18切符を使って遠くを目指すテツのみなさまの事)の姿を描いた噺。
JR東日本管轄では15輌だった車輌が、JR東海管轄に入ったらいきなり4輌になったり、駅の階段の描写が妙にリアルだったり……etc。
実体験に基づいてなければ絶対に書けない描写の数々で、半分はドキュメンタリーといってもいい内容。それだけに、いつもの鉄道落語以上にディティールが真に迫っていて、面白かったです。
(演目)
・B席(ネタ下し)
・スライドショー~祝・宇都宮ライトライン開業!さっそく乗ってきたよ~
~仲入り~
・走れ、青春
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ギャラリーでは佐藤信太郎さんの写真の個展が。加工し合成されたものなのですが、不思議な生々しさが。(写真は後日撮影のパンフレット)